第229話
――
それは妖術の術の一つであり、陰陽道にも扱われる初歩の拘束術。身動きを封じる技であり、妖術を扱える者の殆どが使用する事が出来る術である。
その術は簡単だが、基礎能力が低ければ持続時間が短くなってしまう。その為、妖力が低い者は一瞬の隙を作る為に使用する事が多い。だがしかし、桜鬼が受けた術は同じ縛でも質が違ったのである。
「くっ……このっ、離しなさいよ!!」
「んー、どうしよっかなぁー。すぐ暴れるのは目に見えてるしなぁ」
拘束を解こうとする桜鬼だったが、ビクともせず解けない現状に苛立ちを露にしていた。その様子を見ていた茜は、二歩指を立てたまま桜鬼の様子を伺った。
拘束が解かれるとは思っていないが、桜鬼は魔境でも実力は上位に居たと記憶している。決して油断はしないが、それでも万が一という事を考えているのだろう。
「(術の扱いに関しちゃ、サクラちゃんの方がちょっと上なんだけど……半妖である私の方が妖力は上。なんとかなるかな。ちょっとでも長く拘束するから、だからその隙に……頼んだよ、酔鬼)」
そう脳内で呟いた茜は、森の方へ視線を向けた。その先では、鬼組の幹部の一人と合流した酔鬼の姿があったのである。
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