第227話

 眉間に突き付けられた銃口。その行動を見た瞬間、私は咄嗟の事で動く事が出来なかった。先程まで跪いていた彼を警戒していなかった訳ではないが、それでも一瞬でも隙を見せてしまったのは否定出来ない。

  

 「っ……(酔鬼、貴方も私を殺す為に来たんだね)」


 そう頭の中で呟きながら、静かに目を閉じて死を覚悟した。


 「どうか、お目覚め下さい。姫巫女様」

 「っ!」


 ――ダンッ!!


 衝撃が全身を襲い掛かり、後方へと体が押された。撃たれた衝撃も感じるし、頭の中が大きく揺さ振られる感覚もあった。ゆっくりと遠くなる意識は、視界と共に閉ざされて行くのが理解出来る。

 やがて閉じられていく視界の中で、見下ろす彼の姿が霞んでいく。これで死ぬのかと思っていた私だったが、この時の私は気付く事が出来なかったのである。


 ……彼の放った銃弾には、特殊な術が込められている事を。

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