第226話

 黒騎士が率いる餓鬼が約一万、現世へと侵攻している。それを聞いた茜は、仮面を外した酔鬼を睨み付けた。何故なら黒騎士を率いている存在が、彼女にとっては大きな存在だからだ。

 

 「……私に戦えって……ほーくんと戦えって、そう言ってるの?酔鬼は」

 「はい」

 「っ、今の私は抜け殻のようなものなのよ?万全な状態だったとしても、ほーくんに勝てるかどうかなんて分からない!」

 「確かに焔鬼様は強い。ですが、姫巫女様であれば可能性はあります」

 「可能性の話なんて意味ないよ!今の私じゃ、餓鬼を一体倒すだけでも一苦労なんだから」

 「……それはどういう意味で?」


 彼女は酔鬼に説明をし始める。自分の記憶が曖昧な事、まだ全てを思い出していない事。そして、自分の力を扱う事が完全ではない事を伝えた。

 それを聞いた酔鬼は、考えるようにして顎に手を添える。彼女の力が完全ではないと予想していなかったのだろう。だがしかし、酔鬼は口角を上げて彼女に告げたのである。


 「――好都合です」

 「え?」


 そう告げた酔鬼は、彼女の眉間に銃を突き付けたのであった。

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