第219話

 「くふふ、ふふふ、あはははは!!」


 桜鬼は笑みを浮かべ、周囲の火球を小さな鳥の形へと変化させる。花弁が舞い散るように飛び交う鳥達の中、頬を赤く染めながらうっとり顔で目を細める。

 やがて中空に手を差し出した瞬間、導かれるようにして一斉に鳥達が動き出す。一斉に飛び交う鳥達は、獲物を捕食するかの如くで杏嘉へと襲い掛かる。


 「くっ……」


 片腕を折られたのだろう。片腕を押さえる杏嘉は、ふらふらと左右に体を揺らしながら後方へと下がった。重傷を負っている杏嘉に対し、鳥達は容赦なく襲い掛かっている。

 それを回避しようとする杏嘉だが、桜鬼は回避する様子を見てさらに目を細めた。


 「あらあら、逃げ切れるの?くくく、あはは、逃げ切れる訳がねぇだろ!お前はここで、私に許しを請うまで甚振られる運命なんだよ!!分かったら大人しく、燃え尽きろよクソ狐!!!」

 

 迫り来る鳥達を回避し続けたが、杏嘉の動きを予想しているのだろう。その動きを読んだ桜鬼の攻撃は、杏嘉の動きを制限させていっている。それを繰り返される中、杏嘉はか細い声で呟いたのである。


 「……るせぇよ、クソブスが」

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