第200話

 無数に投擲される武器を手に取り、次に迫る武器を相殺し続ける。その様子を見ていた狂鬼は、奥歯を噛み締めながら彼を見据える。

 投擲した武器が相殺され、斬り掛かった時に交わる視線に表情が苦くなる。何故なら狂鬼には、彼を見る度に重なってしまうのだ。彼の面影が、かつての師でもあり、憧れた存在の姿が。


 「テメェは一体、何なんだ!!!」


 衝突した瞬間、そう問い掛ける狂鬼。だが彼は答える様子はなく、ただ狂鬼が向ける視線を交わすだけ。それに対して狂鬼は納得出来ないのか、舌打ちをして武器を振るう。

 交わる視線と武器から伝わるのは、かつて憧れた存在の面影。その面影が重なる度、狂鬼は苛立った表情へと変わっていく。

 だってそうだろう。さっきまで敵と思っていた存在、そして目の前に居る存在、それが瓜二つという状況なのだ。どちらかが本物か、どちらも偽物か、訳の分からない状況となっているのだ。

 その苛立ちを感じている狂鬼は、一瞬の隙を作ってしまった。その瞬間、彼に急接近されていた事に気付くのがワンテンポを遅れてしまったのである。

 

 「余所見をするな」

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