第十三夜「全ては白に包まれる」
第166話
鬼組幹部の一人であり、雪女の妖怪である刹那。彼女は鬼組の中でも古株で、ハヤテの次に鬼組に……いや、焔鬼に従属した内の一人だ。
雪山の上で暮らしていた刹那は、退屈な日々を過ごしていた。当時の刹那と現在の刹那を比べれば、刹那自身も変わったと自覚するだろう。
そんな彼女が鬼組に入り、焔鬼に従属した話をするには百年前に遡る。焔鬼が魔境から逃げ、現世で神埼焔として生きるようになった。従属させたハヤテと共に、雪女が出るという噂を耳にした焔は探す事にした。
「アニキ、本当に探すつもりっスか?」
「オレはそのつもりだ。今のオレには力が居る。いつか力が、戦力が必要になる時が来るはずだ。その為には仲間を集めるのは必要不可欠だからな」
「たかが雪女如きが、戦力になるとは思えないっスけどね」
「ハヤテ的には納得がいかないか?」
「俺とアニキだけで十分だと思うっスけどね。どんな相手が来ようが、アニキが居れば百人力っスよ」
「過大評価してくれるのは嬉しいが、オレでも勝てない奴は居るぞ」
「またまた、冗談を……」
苦笑混じりにハヤテだったが、足を止めて振り返る焔の空気が一変した事に気付いた。その空気を察したハヤテは生唾を呑み、そんなハヤテを見据えるように焔は目を細めて告げたのである。
「――ハヤテ。オレが、そんな冗談を言うと思うか?」
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