第110話
狂鬼の妖力が凄まじく跳ね上がる。そう感じた戯鬼の目の前には、黒い球体に覆われた狂鬼の姿があった。その妖力に中てられたのだろう。戯鬼は眉根を寄せて、狂鬼の事を見据える。
「初めてだ。まさか……この力を使う事になるなんてな」
ゆっくりと現れる狂鬼は、そう言いながら目を細めた。その姿は纏いと変わり、無数の武器は一振りの巨大な大斧へとなっていた。無数の武器を操る狂鬼の戦闘スタイルとは違い、パワーで押し込むようなスタイルと変わっている。
それを感じ取った戯鬼は、警戒するように狂鬼を睨み付けた。
「(雰囲気が、変わっていル。この力は一体……?)」
「そう警戒するなよ、戯鬼。見た目が少しも変わってねぇし、なんなら本来の姿になっただけだ。それ以外に変わったっていうなら、オレの妖力が跳ね上がったぐらいだろ」
確かに妖力が跳ね上がったのは、戯鬼だって理解している。狂鬼の力を全て理解してなかったとはいえ、潜在能力を引き出した狂鬼の力を侮っていたのだろう。
膨れ上がった妖力を感じた戯鬼は、嫌悪感に満ちた眼差しを向けている。それに対し狂鬼は、性格とは裏腹に冷徹な空気に包まれている。
「テメェが強いのは知ってるし、理解もしてるつもりだ。だけどな戯鬼、オレも弱いつもりは無ぇぞ」
「ぐッ……調子に乗るナァ!!」
声を荒げた戯鬼は、妖力を跳ね上がらせる。今までよりも数段速く、一気に距離を詰めた戯鬼。しかし、狂鬼は目を細めて大斧を振り下ろした。
「……
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