第18話
――神埼邸。
そこでは今、鬼組の幹部達が集まって緊急会議をしていた。議題内容は、『餓鬼の出現率の上昇について』と『鬼門の異変』だった。前者は既に陰陽堂との連携によって、沈静化に当たっていた。
その結果は著しく表れており、二年前よりも餓鬼の出現率は大幅に激減させていた。だがしかし、それが昨晩までで二年前と同じに戻りつつある事が分かった。その原因と仮定しているのが、後者の議題に出ている鬼門なのであった。
「姐さん、鬼門の様子はどうだったんスか?」
「陰陽堂の者と見た限りでは、何も異変は見当たりませんでしたね」
「本当っスか?……じゃあ何で、餓鬼の出現率が上がって」
顎に触れながら思考を働かせるハヤテ。そのハヤテが呟いた疑問について、ムスッとした表情を浮かべて杏嘉が畳を叩いて言った。
「鬼門に異変が無いんじゃ、人間の原因と見るしか無ぇだろ?人間の負の感情が生むんじゃ、対処は簡単だろ」
「乱暴じゃのう、杏嘉は」
「んだと!じゃあ綾、テメェは今の状況をどうにか出来る案を持ってるのかよ!」
「それとこれとは話が別じゃのう。ワシとて、このままで良いと思っておらん」
「なら」
「だが、杏嘉の言う対処は最終手段じゃ。そんなおいそれと人間に手を出す訳にはいかんじゃろ。この幽楽町で人間と共存してるんは、お互いにルールを決めての上じゃろ?」
「だ、だがよ……その人間がもし餓鬼を故意に生み出してたとしたら、だ。その時はどうするんだよ」
「その時はその時じゃな。全てはハヤテ……総大将代理が決める事じゃ」
「チッ……だとよ、ハヤテ」
舌打ちをした後に明らかな不満な態度のまま、杏嘉はハヤテの事を見据える。困ったような苦笑を浮かべるハヤテだったが、彼女達の意見は最もな事だろう。この幽楽町で共存出来ているのは、陰陽堂と鬼組が互いに決まり事を作っている事が大きい。
それはもう、盟約と言っても良い程だ。
一、人間は
一、両者の問題は、両者と協力して解決すべし。
一、これらの破る者に対して、双方の長が立ち会うべし。
これが、この幽楽町に作られている唯一無二の
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