第18話 元勇者 遺跡の主と対決する

肉体が消滅していく中で、リバイアサンが話しかけてくる。


「この先にいるのはこの遺跡の主だ。俺達とは強さが全く違うぞ」


「教えてくれてありがとう。でも一歩も引く気はないよ」


「そうだろうな、まあせいぜい消滅しないように健闘を祈るぞ……」


 そう話すとリバイアサンは完全に消滅。






 何とか強敵を倒し、ほっとする俺。おっと、もう1体いるんだった。デス・ホエール。巨大な体でかなりの耐久を誇るクジラ、今どうなっているか心配になり奴が戦っている方向へ視線を移す、すると──。





「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 ルシフェルが戦いの中心となって、デス・ホエールに対して有利に戦いを進めていた。



 グワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


 ホエールはルシフェルの圧倒的火力の攻撃を受け苦しみのた打ち回っている。そしてルシフェルがそのスキを逃さず勝負を決めるため最後の一撃に出る。



 二つの魂重なりしとき、新たな閃光が現れる。舞いあがれ!!  スターライト・マジカルドライブ!!


 ルシフェルが叫ぶ。すると、自身のステッキから強大な魔力を伴った光線が、ホエールに向かって突き進む。すでに虫の息だったホエールによけたり守ったりすることは出来ずその攻撃が直撃。



 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!



 ホエールの肉体は木端微塵に粉砕、その肉片が周りに飛び散る。うっ、気持ち悪いものがあるな……。そして飛び散った肉片がやはりシュゥゥゥゥゥと消えていく。


 俺はその姿を見るなりルシフェルのそばによって声をかける。




「ルシフェル、やったのか……」


「うん、そうね。防御もHPも高かったけど何とか勝ったわ」


 みたところ少し消耗しているようだ。とりあえず回復魔法を使った方がいいな。


 シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。



 ルシフェルは俺と違って魔法攻撃を中心に攻撃していくタイプ。出来る限り魔力を浪費させたくはない。俺は物理攻撃で戦うタイプだから魔力は彼女に比べたらそこまで重視しなくてもいい。


 そして俺の魔力でルシフェルと俺は体力を全て回復。道を進もうとする。


「あの……。回復させてくれて、ありがとう」


「ああローザ、気にしないでくれ。この戦いに勝つためだ」



 道を進み始める。冒険者達もさっきの激しい戦いで次々に消耗、7割ほどがこの場を去っていった。

 残った3割のメンバーも満身創痍だったり消耗していたり、激しい戦いをしていたというのが一目でわかる。


 気持ちが高まり、胸がドキドキとする。最後の遺跡の守護する番人だけあって、今までより強い敵であることが予想できる。


 果たしてどんな敵なのだろうか、本当に勝てるのだろうか。どんな能力を持っているのか。俺はそんな事を考えながら道を進む。



 再び広い空間に出る。察するにここがその場所なのだろう。


 下は膝までつかるくらいまで水浸しになっている。流石は水の遺跡といったところだ。

 さらに周囲を見渡す神秘的な幾何学模様、真っ黒でグロテスク、恐らく魔王軍に関係するものだろうか、この部屋の入り口から見た正面にそんな魔物を描いたような壁画。


「ほう、ラスボスはあんたか──」


 そしてその下に立っている、一つの動物に視線を移す。その動物は仁王立ちをしていて、さっきから視線を俺に送ってくる。心配しなくたってわかってるよ、あんたがこの遺跡のボスだってこと。だってオーラがすごいもん。



「貴様タチ、ヨクココマデ来たナ……」


 俺が相対している生き物。

 それは緑色で全長1メートルくらいの大きさのヒトデ。片言の言葉で俺に話しかけてくる。


「ああ、褒め言葉をありがとう。それでさ、今までのあんたの手下たちはすべて倒して残りはあんただけだ」


「だからさ……。降伏してくれないかな??」


 俺は優しい口調でそう迫る。こちらは消耗したとはいえまだいくらか冒険者達は残っている。多勢に無勢、いくら強いと言っても勝負は見えている。こちらも一匹を集団でボコボコにするようなことはしたくないからな。


「フッ──、何ノ冗談ダ? 貴様ナリノギャグカ?? 貴様ら全員海ノ藻屑にシテヤルゾ」




「まあ、そうなりますよね……。ちょっと願望を言ってみたかっただけです。忘れてください」


 俺は戦う覚悟を決め、左手に魔力を込める。それを見た冒険者もこのヒトデと戦うというのを肌で理解し戦う構えを見せる。しかし──。


「ハァーーッ?? 今までサメ、クジラ、リバイアサンと来て水属性最強と言われた王がヒトデ?? 舐めてんのかぁ!!」


 冒険者たちの中に余裕の表情が見え始めた。

 中には笑い飛ばす奴だっている。


 確かに俺も少し思った。今までその強そうな魔物と戦って特別大きいわけでもない、強そうにも見えないヒトデ。拍子抜けしたという想いはある。


 だが見た目で敵を判断してはいけない。とりあえず敵の強さを見てみるか。


「ルシフェル、奴のステータス分かるか?」


「うん。これがあいつのステータスよ。ちなみに名前はジアーガっていうの」



 そんな名前をしていたのか──、どんな強さだ?


 パッ!


 体力 80

 物理攻撃 45

 物理防御 78

 魔法攻撃 118

 魔法防御 90

 瞬発力 114

 種族値 525


 マジかよ──。


 今までより強そうだ。魔法攻撃が高いし素早さも俺より高い、恐らくあいつは魔法攻撃を中心に攻撃してくるだろう。

 どの道今までより厳しい戦いになることは間違いない。



「フフフ……。笑っテイラレルノモ今のうちダ。イクゾ──」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る