第38話 「ショート・カットキー」

 人生のショートカットキーをキーボードの側面に見つけた。

 

 しばらくの期間、誰にも言わず内緒にしていたのに、ある時同僚にバレた。

 

 同僚に「早く押せ」といじり回され、観念して右側面をクリックする。

 

「どうもクリックできないな」

 

「こうしてやる…」

 

 首を絞められ、ぐるぐる巻きにされ、僕は同僚たちの手で無人島に放置される。

 

 でも大丈夫。スマホにショートカットキーをコピペしておいたから。

 

「タップしてスワイプ」


僕の人生は何度でもやり直せる。ショートカットを脳の海馬に刻む。

 

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