第53話
先週は、坂井先生とパンケーキを食べに行った。ふわふわとろけて美味しかったな。
今日は、坂井先生とイルミネーション。このイルミネーションは、夏、秋開催しているようだ。冬は雪が降るからやれないとのこと。確かに、イルミネーションやってるところは、雪が尋常じゃないくらい降るもんな。
外はかなり暗くなっていた。店のキラキラとしたライトのおかげで、人の顔が分かる。
今日は、坂井先生が車で迎えに来てくれる。
「着いたよ」
坂井先生からメッセージが来た。「いってきまーす」と誰もいない家に叫んだ。
黒塗りのドイツ車が家の前に止まっていた。さすが医者。
坂井先生が乗ってると、より車の良さが光る。
かっこ良い。
「お願いします」
「はいよ」
「今日行くイルミネーション行ったことある?」
「実は、初めてなんですよ」
「あのね、実はね、イルミネーション会場に行くまでがね、少し大変なんだ」
「どういうことですか?」
「山道」
「ええ、そんな山奥にあるんですか?」
「そうなんだよね。だから、酔わないように運転頑張るけど、酔っちゃったらごめんね」
「全然大丈夫です!運転してもらってる身で贅沢言えないです」
「優しいね。柚さんは」
確かに、山道だった。けっこう登ったし、くねくね道も走った。これは雪がたくさん降るわけだ。
雪降ったら、道が凍っちゃって、車なんて通れなくなりそう。
「着きました」
「ここか。結構登りましたね。運転お疲れ様です。ありがとうございます」
「いえいえ。チケット買いにいこ」
イルミネーションは、かなり人がいた。カップルの多さよ。
会場に入ると、様々な色の光が飛び込んで来た。
「綺麗」
思わず声が出てしまった。
一面、光の花畑。多彩な花がたくさんあり、一面を覆い尽くしていた。
どこを歩いても光に包まれる。赤やピンク、オレンジ、緑、青たくさんの色が散りばめられていた。
キラキラと光る動物たちがいた。キリンやシマウマ、カンガルー、うさぎ、白鳥など様々な動物が存在していて、綺麗だった。
プロジェクションマッピングもあった。まるでそこに物があるようで幻想的だった。オーロラが出てきたときは、まるでオーロラがそこに表れているようだった。私と坂井先生だけ異空間に行ったような気分が味わえた。
「綺麗でしたね」
「本当に。きてよかったね」
「初めて見たから尚さら、感動しちゃいました」
「こんな山の中にこんなに素敵な場所があったなんて」
「それな。一緒に行ってくれてありがとう」
「こちらこそです」
「柚さん。実は話したいことがあるんだけどいいかな」
「なんですか。改まって」
「僕ね、柚さんのことが好きになってしまったみたい」
「え」
「付き合ってほしいです」
「私でいいんですか?」
「柚さんがいいです」
「私で良ければ」
満天の星空の中で、二人はキスした。
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