物騒な再会
(前回のあらすじ)
俺(コウヤ)は義勇軍への獣人の合意を取り付けた。
「「「応っ」」」と地面を揺るがす呼応。
俺は流れを変えてくれたナナミを見て『で・か・し・た』と声に出さずに口を動かして笑う。
と同時に『
◇◇カノン・ボリバル目線◇◇
場面は切り替わり山の中。男たちが見つめる先には『カグラ』の
「さすがに
双眼鏡から目を離すと、一緒に潜入した
受け取ると
「ああ――。そのようだな」
少し
潜入のプロがうむむ……と
俺(カノン・ボリバル)がいた頃にはなかった高さ三メートルを越す
再びこの『カグラ』がゴシマカス王国への
これはヒューゼンの戦火を開く戦場を選定するための、大事な偵察だった。
ココを
ここは俺(カノン・ボリバル)が獣人の国の首都として、そしてゴシマカス王国への
さすがに俺(カノン・ボリバル)に攻略されてからはその重要性に気づいたのか、今見ている
「ライガと合流を先行しよう。アイツにとってはあの程度の
俺(カノン・ボリバル)が答えると、コティッシュは笑った。
「あの旦那が人外なのは見ているがね。さすがに三メートルの
冗談にもほどがあるぜ――と、『
俺がライガを探したい一心で、ここを
「
「そこまでは言わんが、ここにいる仲間の目を見て言い切れるか?」
ああ、問題ないさ――そう言って地面にしゃがむようみんなを手招きした。
「ライガは第二都市『ブホン』を
第二都市『ブホン』に行った事があるか?――と見まわますと実際に訪れた事があるのは『
「あそこの
高さは防御力に比例し、城壁幅は配置出来る城兵の数に比例する。
「これを一人で突破して城門を開いた」
もちろん乱戦になる頃には後続が追いつき、重装兵を蹴散らしていたが。
「アレの力を使ってあそこに――」と谷間を指差し、「夕日がかかる頃、
「逆光を利用するのか?」
『
「あの谷に夕日がかかると俺たちの姿は逆光で見づらくなる。接近は容易だ。俺がライトニングの魔力を『遮断』しているうちにライガに
――と、手にした枝で方角と◯で示した
「どれくらい
「重装兵十人とそのあとに続く射手も五名は欲しい。制圧には『大太刀のソ・ランデ』を頭に、乱戦に強いヤツを七、八名もいれば十分かな?」
「総勢二十八名か? 小隊で制圧しちまおうってか?!
「ライガの
「突破力だけなら大陸一だと思うぞ」
肩に大太刀を
「人外とは聞いたが――?!」
『大太刀のソ・ランデ』が口を半開きにしている。前衛担当の彼にしかわからない
それを見て『爆裂のシド・レイ』が、
「来るのが分かっていたならそれほどでもないさ。突っ込んで来るぶん、罠に
コッチは守り手からの視点でものを言っているようだ。
「ば、バカ言うなっ。
「いずれにせよライガとの接触が先だな。でなけりゃ
仲間を見捨てるワケに行かないもんな――と、ソ・ランデが力強く
全く――。とコティッシュ・ガーナンが苦笑いしながら
「総意一致だ。ライガ殿との接触を
立ち上がると手頃な枝を切り取り、下草を払い除けながら山道に
◇◇
『カグラ』は山岳地帯にポッカリと開けた鉱山都市だ。
当然この物資を狙う
俺(カノン・ボリバル)達は、商人に偽装し林道を降っていた。
『
「この先二キロに林道が大回りにカーブしてる。トロッコは鉄橋で真っ直ぐ行くから、守備隊は馬で先行してトロッコを追いかける。
対して馬車はスピードを落とさなきゃならないから守備隊と離れることになる。アッシならココを狙うでゴザル」
『
彼の言うアッシなら――は、昔取った
商人に偽装しているとは言え、馬車の中身は俺たちの移動用の物資と武器、爆薬も仕込んである。
「さて、行こうかね」
まるで
そして――。俺(カノン・ボリバル)たちを乗せた荷馬車は『
「……怪しい。備えろ――」妙な気配を感じた『
「来るぞっ」コティッシュ・ガーナンが剣を抜き去った時、メリメリッと木が裂ける音と、ドォンッと地響きを立てて大木が倒れ込んできた。
驚いた馬が荷馬車を振り解いて逃げようと暴れる。
「ドウッ、ドウッ」
『
「荷物を渡してもらおうかッ?!」
大太刀を
「大人しく渡せば命だけは助けて……って、カノン?!」
金色に光る眼を見開いて固まるライガがそこにいた。
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