第74話 再会。
「ねえさん!」
角を曲がってこちらを見た瞬間、ノワはそう叫んだ。
ああ。
ごめんねノワール。
やっと帰ってこれたよ……。
「ごめんね……、ノワール……」
あたしの目の前に立ったノワ。
あたしはそのちっちゃな身体を膨らまして、少し大きくなって抱きついた。
(大きなぬいぐるみなわたし?)
——そうそう。けっきょくこれってガワだけだし。
レイアのツッコミにそれだけ答えて。
あたしはぎゅっとノワにくっつく。
「会いたかった。ノワ」
「僕もですよ、ねえさん……。もう会えないのかと思って……」
ノワ、泣きそうだ。もうおじさんの歳なのに、いつまで経っても純真で……。
あたしも涙がこぼれそうだったけど、これ、着ぐるみだからそういう機能ついてなかった残念……。
「ねえさん? ちょっと手触りっていうか触り心地が変わった気がしますけど……」
「あうあう、ごめんね今のこれ、ちょっと訳あってガワだけなの。着ぐるみみたい? 中身はあたしのマナで……」
「ラギレスさま、今幽霊なんです。勇者さま」
「それにしてもすごいですよね。やっぱり本物の女神さまだったんだ。肉体も持たないでもこうして存在できるなんて」
ちょ? コルネリア? コーラスも?
「そうだよ? ほんと凄いんだから」
あうあうレイアまで。
「すごくはないの、まあ、身体が死んじゃったのは確かなんだけど……」
「僕を護ったからですよね? 僕さえいなければねえさんがあんな魔におくれをとることなんてなかったはずなのに……」
「しょうがないの! ノワール? あの時は。だってあそこでノワ自分じゃどうしようもなかったでしょ?」
「だから! 自分が情けないのです! 僕はあなたを守りたかったのに……」
あたしはぽんっと右手をノアの頭にのせた。背伸びしても届かなかったから、ちょっと身体を浮かして。
「あたしもね。あなたを守りたかったんだよ。何があっても守るって、そう誓ってた。だから……。一緒だよ!」
あたしはそういうと両腕でふんわりノワを抱きしめた。
ノワもあたしを抱きしめて。
泣いてた。
うん。
ごめんねノワ……。
☆☆☆
「さあ。いつまでもラブシーンしてないで帰りましょう。もうたぶん夜ですよ? あしたは学校でしょ?」
レイチェルの言葉にコーラスとコルネリア、
「ああ、またあそこ通らなきゃなんだよね? もう流石に体力ないよ?」
と、そう。
「あ、帰りはあたしの転移で送ってあげる!」
「え?」
「転移魔法であっという間におうちだよ?」
「って、ラギレスさま? もしかしてここにくるのにも転移って使用可能でした?」
と、コーラス。
「そりゃあもちろん!」
と、言ったところで、コーラスとコルネリア、
「そりゃあないですよ!」と、ちょっと怒ってた。
まあね? あれも修行の一環だからね?
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