第66話 高度な科学技術。

「なんか不思議な場所ですね?」


「壁、光ってる? すごーい」


 コーラスもコルネリアも興奮しながらキョロキョロしてる?


「驚くのはまだ早いですよ?」


 レイチェル、面白がってない?


 まあね。こんな場所黙ってるのもふにゃぁだしね?


 階段にもうっすら灯りがついてる。ゴムの滑り止めまでついてるからほんとこれどうやって作ったの? って感じ。


 少なくとも今のこの世界の技術じゃ無理。


 数千年ものながきに渡って維持されてることを鑑みても、前前世の遥香の世界でも無理。


 ってことは……。


 まあね、さっきのカモフラ遺跡くらいだったらあたしの創造魔法でも作れるけどね?


 ここまで複雑なのは無理かな?


 だから。


 ここは完全に科学技術の世界。


 魔道王国なんて名前で呼ばれてるけど、それだけじゃない。


 高度に発展した科学技術の裏づけのある魔道世界だったってことなのだろうね。




 あ、そうそう。


 この間レイチェルに創造魔法が魔法の域超えてるって言われたけどさ。


 もともとここの世界の人だって無意識に創造魔法使ってるんだよ?


 水魔法も風魔法も土魔法も、全部基本は創造魔法だし?


 何もない空間から水を出す魔法。


 風のないところに強風を吹かせる魔法。


 何もないところに土壁を出す魔法。


 全部そう。


 火魔法だっていろいろ創造してるしねほんとは。


 でも。


 魔法ってそういうものでしょう?


 何もない空間から原子分子そういうのを生み出す。


 このチカラが創造魔法のみなもと


 まあこの世界の人は原子とか分子とか素粒子とかクォークとか言ってもわからないだろうけどね?


 これがわかるとわからないとで創造魔法の可能性が変化するんだよね。


 まぁ、あたしのはそれでも反則だって、自分でもわかってはいるんだけどね?



 階段が終わり、エレベーターの扉が開く。


 なにこれって感じで怖々乗る子たち。


 レイチェルが最下層行きのボタンを押してドアが閉まった。


 ぐーん、と、降りてる感じ、重力。加速度を感じる。


 ああ、コーラスはこれダメだったっぽい。お腹押さええて気持ち悪そうだ。


「大丈夫? コーラス」


 レイアがそう声をかけるけど、ふにゃぁ。返事をする余裕もないらしい。


 そうこうするうちにエレベーターが止まった。


 目の前の扉が開き、そして。



 そこにはだだっ広い空間があった。

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