第176話『国生み 事始め』
かの世界この世界:176
『国生み 事始め』語り手:テル(光子)
カオスの霧はアメノヌホコが貫いていたところだけトンネル状に薄くなっている。
それを頼りに、ヒルデと二人イザナギ・イザナミ男女神の後をつけ、螺旋を描いてダイブしていく。
「イテ!」
ヒルデがなにかに接触した、わたしは反射的に、それを避けて、螺旋の半径を大きくする。
「気をつけろ、いつの間にか、ぶっとい柱になっているぞ!」
ヌホコの貫きが実態を備えて太い柱になっている。
ヒルデとわたしのダイブに合わせて、柱に文字が現れる。ダイブに合わせて青と赤の文字が走って、まるで床屋の看板を慕って舞飛ぶ虫になったような感じ。
「AMENOMIHASHIRA……」「アメノミハシラ……」
それはアメノミハシラと読めた。
「なんだ、アメノミハシラとは?」
「たしか……」
最初に浮かんだのは、FF14に出てくるディープダンジョンの名前だ。
いや、オノコロジマに聳える柱だから……あ……思いついて、自分でも恥ずかしくなるくらい真っ赤になってきた。
「なにを赤くなってる?」
「いや、ちょっと……ここからはR18だよ」
「R18? ルート18? 国道18号線のことか、国道なら天下御免の公道ではないか、なんの遠慮がいる」
「ヒルデ、あんた、分かってボケてる?」
「ハハ、R指定! 面白いじゃないか、急ぐぞ!」
ビュン!
「あ、待て、ヒルデええええええ!」
二人でダイブしているわずかの間に、オノコロジマは小さいながら緑豊かな小島に成長し、アメノミハシラは、その中央に聳え立つ巨木のようになっていた。
「隠れて見ていよう」
「う、うん」
ヒルデと薮の中に飛び込んで、週刊誌の記者のように覗き……いや、観察を続ける。
素っ裸の二人は、不思議そうに自分と相手の体を見ている。体は大人だけど、その関心は初めていっしょにお風呂に入った幼稚園児のようだ。
「なにか、作りがちがうなあ」
「そうねえ……」
「俺のは、ちょっと余ったみたいで、変なのがぶら下がって……」
「わたしのは、なにか足りなかったみたいで、凹んで穴が開いてるわ」
「その分、イザナミの胸は二つも膨らんでるぞ」
「ああ……でも、そのぶら下がってるものは、なんか次元が違うと思うなあ」
「ほんとうに無いのか? ちょっと位置がずれてるだけとか」
「どうかなあ……ちょっと見てくれる、イザナギ?」
「あ、ああ……なんかすごい(#'∀'#)」
「な、なに赤くなってんの(#^_^#)!?」
「ちょっと頭冷やす、散歩してくる」
「そ、そう、じゃ、わたしも」
男女神は、それぞれ反対の方向に歩き出した。
「反対側で出くわすわよ、わたしたちも移動しよう!」
「そうだな!」
男女神はアメノミハシラを巡って反対方向から回る形になって、出くわした反対側で声を掛け合った。
「いやーー、マジいい男じゃない(^▽^)/」
最初に声をかけたのはイザナミ。どうも、初対面だというシチュエーションで雰囲気を盛り上げるつもりのようだ。
「あ、ああ、きみもなかなか、か、可愛いじゃないか」
「そお(#^▽^#)、じゃ、じゃあ、さっそくやっちゃう!?」
「や、やっちゃうって(#^_^#)?」
「あたしの足りないとこに、あんたの余ってるとこを挿れんのよ!」
「お、おう……」
「さあ、来て!」
「う、うん!」
ガバ!
男女神の国生みが始まった!
ゴクリ……
ヒルデと二人、薮の中で固唾を呑んで見守った(n*´ω`*n)。
☆ 主な登場人物
―― この世界 ――
• 寺井光子 二年生 この長い物語の主人公
• 二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば逆に光子の命が無い
• 中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
• 志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
―― かの世界 ――
• テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
• ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
• ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
• タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
• タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
• ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
• ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態
• ペギー 荒れ地の万屋
• イザナギ 始まりの男神
• イザナミ 始まりの女神
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