かなり本気で思っちゃうほど、臨場感溢れる戦国時代タイムスリップです。
主人公は、姑のオババと一緒に、タイムスリップ、と言おうか憑依転生と言おうか。とにかく突然戦国時代に来てしまいました。
しかしオババは某世界的アニメが好きな肝が座った女傑、主人公は「槇島城の戦い」を知っているぐらいのどマニア歴女でした。
ちなみに私はこの後「槇島城の戦い」をWikiped〇aで調べーーようとするのですが、あまりに長いのと漢字ばっかで諦めました。私と同じ人間はひとまず「第21話 魔王の兵」を読むといいです。
彼女らはとにかく戦国時代を生き抜こうと、一先ず女性だけで組まれた「鉄砲隊」に入ろうとしますが……。
異世界転生にしろ私が何時も首を捻ってしまうのは、「どうしてこいつは自分が支配者側にいられると信じられるんだ?」と思うからです。
ですがこの物語は、被支配者からの視点でずっと綴られています。でありながら、主人公は支配者である織田信長の心情を推測するのです。
物事を多角的に見るとは、どういうことなのか。
そして、オババはまたあのマウスなランドに行けるのかーー違った、二人で現世に戻れるのか。
目が離せません。
自分は歴史、特に日本史に全く興味のない者で、歴史の歴がなぜ厂と林と止でできているのかすら分かっていないのですが、そんな自分でもわくわくしながらスラスラ読める戦国時代劇でした。
出てくるキャラクターが個性的! そしてその中であっても際立つ姑と嫁。強い個性たちが織りなすは意外性溢れる物語。大抵のことには動じない姑のオババは大の夢の国マニア。密偵もこなす器用なアメは歴女で博識。そんな二人が現代の便利な生活から離れ、戦国時代の生活に順応していく様は痛快です。
歴史の授業を受ける前に、この作品を読んでいたら僕も歴史に熱中していたのかな? と思います。授業中無味乾燥に感じていたものが命をもって頭の中にするする入ってくる感覚はたまりません。
歴史要素ある作品に二の足を踏んでいるあなた、一回この作品に目を通してみてはいかが?
武士の世って女性登場人物が活躍できなさそう、という食わず嫌いを繰り返していましたが、女性たちが足軽としてバリバリ活動していて驚きました。
大河ドラマでは描かれない角度、視点から新しい世界を知ることができ、とても新鮮です。
現代人のアメさんが語り手ということもあり、読み手の理解が進みやすい例えや解説も心強いです。
考えてみれば、江戸時代や戦後のような太平の世の方が、身分や立場が固定されてしまって、なかなかその枠が崩れないもの。
大変革の最中の戦国時代だからこそ、何もかも流動的で、細かいことより手柄が物を言うんだなと実感します。
生き抜くのも大変だけど、細かいことを言ってられないカオスだからこそ、異界の人がしれっと暮らせる、謎の納得感も笑
突然オババ様がディズニー欠乏症を発症しても、その印象が後々まで尾を引く様子もなく…
自分の中で、女性主人公が動乱の世にタイムトラベルする作品といえば海外ドラマ『アウトランダー』(姑はついてきません)でしたが、読後は完全に本作にポジションを譲りました。
たくましく生き抜く仲間の面々を、どんどん応援したくなります。
まず文章が軽快で読みやすい。それに主人公が現代人なので、時代物が苦手でも現代の尺度で解説されるからとっつきやすい。
また作者が歴史に造詣が深く、描写部分はまるで現場にいるかのような臨場感がある。
けれども他作品と本作が一番ちがう点は「女性たちが嘘偽りなく描かれている」ところだろう。
歴史物というと、とかく華々しく武将が活躍する横で添え物のように女が『ご都合主義的に』描かれた作品が多い。
しかし本作は作者も主人公も女性だからか、老いも若きも女たちが非常にリアルである。
登場する女達はけっして見た目美女だったり性格が従順なわけでもないが、戦国という不安定かつ自由な時代を自分たちなりに精一杯生きようとあがく。
男達は表向き社会的な主導権を握ってはいるが、その熱気に引きずられて話が展開していく。
そこが新鮮で、次になにが起きるか読者には想像もつかず、たまらなくおもしろいのだ。
コメディータッチで軽快なテンポでありつつも、本作には人の真理がある。
だからこそ胸を打たれる。最後まで読み続けたくなる。
本日めでたく完結してしまったが、良い物語をありがとうございました。
天正元年(1573年)、織田信長軍は浅井長政の居城へと迫っていた——
小谷城の戦い、かの有名な史実の裏で一体どのようなドラマが繰り広げられていたのか——?
現代日本から戦国時代へ転生してしまった主人公アメ(歴女)が、姑・オババとともに戦乱真っ只中を駆け抜ける!
はたして主人公アメは憧れの織田信長と明智光秀に会えるのか!?
そして、その時、何を思うのか!?
「歴史」というと、堅苦しい・難しい・興味ない、そんな悲しい言葉が聞こえてきそうな現代ですが……
「実は歴史ってすごく面白い!」まさに晴天の霹靂が脳天に直撃するような、痛快・爽快コミカルストーリーです。
さらに、作中で活躍するキャラクターたちもそれぞれが個々に魅力的に描かれており、ストーリーにカラフルな輝きを与えています。
本作では史実に従った創作でありながら、その時代の文化や信条といった民俗史にも触れることができ、それらが互いに生き生きと描かれることによって、今まで単語としてバラバラに脳内を浮遊していた歴史の記憶がストーリーとして繋ぎ合わされていく、読み進めていく中でそんな感覚になっていきました。
その作品力は、作者様の歴史に対する造詣の深さから為せるものであり、敬服せざるを得ません。
オススメの作品です!!
意識だけがタイムスリップしちゃった嫁姑が織り成す、コメディタッチで面白おかしな戦国時代っ!
ウソウソ!? 幻のあの城も武将もこの目で見られちゃう!? 歴女の血が騒いじゃうー!
なんてテンションで読み進めようものなら、後の展開の衝撃も凄まじい事となりましょう。
上記のコメディは勿論、時折混ざる時代小説然とした厳粛さ。読者をも巻き込む、次元を超えた語り口。
信長が生きた戦国を、まるで真実味を帯びて描写される様は荒っぽくも等身大。
大自然の美しさに心奪われる瞬間もそこそこに、いつ潰えても不思議ではない今をどう生き抜くか。
アメの豊富な知識と、オババのラップ&ソウルで乗り切っていくのです。
金色のすやり霞映える「明智光秀によろしく」ーー鋭さ湛えるその眼と相まみえる時、アメの心を突き動かすものとは。
隙間時間に楽しむも、一気に読破するも良し。おすすめ超大作です!
嫁と姑が戦国時代に転生?……もう設定だけでも強烈です。
でも本当に驚かされるのはここからです。
二人の精神が行きついたのは、戦国時代、明智光秀のもと。
しかも普通の農村の娘と母親として、若干若返った体で戦国の世に放り出されます。ここから二人の生きるための戦いが始まります。
もともとあまり仲の良くない、というか苦手同士みたいな二人。
でもそんなこと言ってられません。
頼りになるのは歴女を自認する主人公『アメ』の深くて正確な歴史知識。
一方の姑さんの武器は持ち前のバイタリティー!
この二人が足軽に志願し、従軍し、なんとかかんとか厳しい時代を生きていきます。
タイトルの明智光秀はもちろん、有名なあの武将たちも登場し、ととにかくワクワクさせるストーリー展開で突っ走ります。
しかも作者の豊富な知識と解説により、戦国の世を体感しているような強烈なリアリティーがあります。
戦国の世がどんなものであったのか、自然と身に沁みてくる感覚はすばらしいです。
なのに、この二人。
必死なんだけど、どこまでも飄々として、隙あらば笑わせにかかってきます。
このコメディーの混ぜ具合が絶妙で、笑ったり泣いたりハラハラしたりと、実に楽しい読書体験をもたらしてくれます。
そして最後には……この先はもちろん内緒です。
ぜひ読んで確かめてください。
本当に面白い作品でした。