海上保安庁。それは、海の警察官。
海にまつわる犯罪や出来事を取り締まる部署である。
本作は、若き海上保安官が活躍する話だ。
新たに建造された巡視船かみしま。その船に乗船するクルーたち。
全体的にシリアスなものの、一滴の清涼剤のように笑いを取りにいく歌川(本人無自覚)と、それぞれが秘めた恋。
彼の存在とそれぞれが秘めた恋によって、重くなりがちな話に息をつけるのだ。
だが、主役は彼らではない。
海の神であるワダツミと約束を果たした男が主人公である。
神との契約故か、巡視船に乗船する者たちの気概故か。巡視に出たはずが事件に巻き込まれ、いつの間にかその中心にいるかみしまのクルーたち。
それぞれができることを精一杯やりとげ、主人公やかみしまに残った男たちに委ねるのだ。
背後に控えるのは、最終兵器ともいえる護衛艦つるみ。艦載している武器を使用できなくとも、その存在そものが、主人公を含めたクルーたちを奮起と安堵させる。
そして始まる戦い。謎の存在に対峙する主人公とワダツミ。
主人公はワダツミとの約束と契約を果たせるのだろうか――
まるで、一本の映画を見たような感覚に陥る本作。
今は現実的ではない。が、もしかしたら「今後あるかもしれない未来」の話なのかもしれない。