115.嘆願二
「なんだなんだ、そうも慌てて。」
「あの……実は成瀬様に早急にお願いしたいことが!」
「ふむ?」
軽く首を捻って不思議そうな表情を見せる成瀬に向かい、その場で
まずは成瀬の暗殺を企てていた者達が、街の外れの寺に
そこへ
そうして不逞者は全て
そして、何故か見計らったように
そこまで話したところで、
「なにとぞ成瀬様に、
必死な口調で頼み込む
「と言うことは、
何故か悠長な調子で言う成瀬の口ぶりに、幾分に焦れる思いを抱きながら、それでも
「
「それで偶然にも悪党どもを斬り終えた直後に
「はい。ですので、
「ふむ。」
何とも呑気な成瀬の
それが余りにも緊張感の無い声であったために、思わず
丁度その瞬間、成瀬が勿体ぶった様子で口を開いた。
「
「えっ?」
一瞬、自分の心持が見透かされたかのように思えて、
「どうした。顔を上げよ。」
「は、はいっ。」
慌てて
「いや、お主らは良くやってくれた。」
どこか機嫌の良さそうに聞こえる成瀬の言葉に、
「あの、では、
「万事、計画の通りだ。」
「……え?」
ほくそ笑んで言う成瀬の言葉の意味が分からずに、
その瞬間であった。
みしり――
と、左胸の下部で、骨が
それは
「ぐぶっ!?」
突然腹部へと襲ってきた衝撃に、
ただ
びちゃびちゃと泥の上に
「あ゛……あぅっ……。」
激痛にのた打ち回りながら、
「何だ、汚いな。」
腹をけり上げた
苦しさでひうひうと喉を鳴らしながら。なぜこんなことをするのかと、
そうして見上げてみた成瀬の顔は、奇妙に
「な……成瀬……さま……?」
体の力を振り絞って
「良くやってくれたのう。いやはや、お主らは良くやってくれたよ。
にいっと一層に喜色の映えた笑みを成瀬は浮かべる。
「な、なに……を……。」
未だに激痛を感じる腹部を抑えながら、
「未だ分からんのか?阿呆か、馬鹿か。それとも痛みで頭が回らんのか?」
呆れたとでも言うかのような成瀬の言葉に、
それを知っているのか知らぬのか、成瀬は
「
口を掌で覆いながら、それでも笑みを噛み殺せぬと言った様子で、くふふふと肩を震わしながら成瀬はほくそ笑んでいた。
そうして
「あとは、お主を始末するだけよ。」
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