第6話 怪しい女
弟のローイも体が回復して、食堂でまた働けるようになった。
昨日の夜遅くの事を弟に話すと、その女を知っていると言うのだ。
なぜだと聞くと、、ずっと兄さんを見ていたと言う。
声をかけようとしたが、来たらすぐに帰ってしまったという。
弟がいきなり、こんなことを言い出した。
「その女と付き合えばいい」
「何を言い出すんだよ急に。馬鹿な事を言うな。おまえを襲った女だぞ。頭おかしくなったのか?冗談はやめてくれよ」
「冗談じゃないよ」
「どういう意味だよ。」
「兄さん、その女は金持ちの娘だ、となり町の。その女と結婚すれば大金持ちになれるじゃないか。」
「なぁんだ。そんな馬鹿な考えだったんだな。なおさらお断りだ。」
弟のローイは少し残念そうにしていた。
少しでもお金が増えれば毎日のきつい仕事も楽になると考えたからだ。
話を終えて、キッチンへ戻ると、いつも来てくれている、おじいさんがいた。
「今日もカレーをひとつよろしく。」
おじいさんに昨日の夜遅くの事を話してみると、それはとても怖いことだと言った。なぜならその女は人殺しで有名人だという。
それを聞いた兄のローザーは身震いがした。
食堂を閉めようとした時、ある一人の女がやってきた。その女はキレイな洋服を身にまとい、明らかにこの町のものではないと分かった。多分大きな隣町からきたのだろう。
こんな夜遅くに何をしに来たのか聞くと、
弟を襲ったのは自分だと言う。
ローザーは怒って早く帰れと言ったが、その女はまだ帰らない。
なぜだと聞くと、どうもローザーに好意を抱いているというのだ。
「好きだと言われても困る。早く帰ってくれ。俺の事を知っているのか?一度も店へ来たことがないだろう?」
「いえ、店に来たことはあります。ただ、中へは入った事はありませぬ。」
「だとしても、なぜ俺の事を?」
「前から好きだったんです。でもいつも弟さんといて、羨ましくてそれで、弟さんを襲ってしまいました。ごめんなさい。」
「そんな、今更謝られても、事実は変えられないんだ。さっさと帰ってくれ。」
「はい。では、これを渡しますので、これを売って生活費に当ててください。さよなら。」
そう言って、女は帰っていった。
渡された物を見てみると、金色の象の置物だった。見るからに高そうだ。
一体あの女は何者だったのか。そして
一人の女にずっと見張られていたのかと思うと、ゾッとした。した。
今度は自分が狙われるんじゃないかと。
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