13 ブランさんの武器屋さん
「おー!相変わらず街の市場は賑わってるな~」
ライアンはそう言いながら、楽しそうにシュトゥットガル市場をキョロキョロと見渡している。
俺たちは武器屋を目指して街の商店街まで来ていた。俺が初めてこの世界にきた時も、同じように賑わってたな。
つい最近の出来事なのに、なんだか少しだけ懐かしく感じつつも、俺たちは街を歩き進んだ。八百屋に果物屋、道具屋、雑貨屋、それに薬屋も通りすぎると、武器屋の大きい看板が見えてきた。
武器屋はけっこう市場の奥の方にあるんだな。それにしても、やけにでかい看板だ。遠くからでもなんて書いてあるか分かるようになっている。
「ブランさんの、武器屋さん……?」
「あぁ、武器屋の店主がブランって人なんだ。だから、ブランさんの武器屋さん!」
なるほど。そう言えば、ゲームでそんな名前の武器屋があったな。パン屋さん的なネーミングセンスだ。
そんな事を思いながらも、俺たちはそのまま武器屋の前まで行き、中へと入っていった。中へ入るとこの店では、様々な武器の種類が揃えられていることがひと目で理解できた。剣や斧、弓、銃、あと魔法の杖らしきものがギラリとした光を放ちながら並んでいる。
「……っす、すげえぇ」
俺は思わず興奮気味にそう呟いた。一時期サバゲーにもハマっていたが、その時の道具や武器よりも種類が多くて、思わずテンションが上がってしまう。
「ははっ、ちょっとテンション上がるよなぁ!やっぱ、ブランさんとこの武器屋が一番だ!」
「おう!ソレーユ国内一の武器屋だぜ?うちは」
興奮している俺に、奥から出てきたモヒカンのオヤジが声をかけてきた。お、この人がもしかして「ブランさん」なのか?
「あ、ブランさん!剣を新調しにきたぞ。あとこいつ、シンタって言うんだけど、武器を持ってないんだ。だからシンタの武器も相談に乗ってやってほしくてさ」
「あ?おい、武器を持ってねえだぁ?」
「あ、はい」
「じゃあ、ちゃーんとした良い武器を買わねぇとな!あ、店にあるやつみんな良い武器だけどな?」
ブランさんはそう言って、俺にウィンクをかました。
「……っ……よろしくお願いします!」
俺は少し笑いそうになりながらも、元気良く返事を返した。ブランさんはそんな俺に対して「まかしとけぃ」と言って、店に並んでいる武器を見定め始めた。
「うむ……ここら辺が初心者が使う武器なんだか……おめぇはどんな武器がいいんだ?格好からして旅人か?剣か斧か銃か、それとも杖か?」
ブランさんはそう言いながら、先ほど見ていた武器を何個か俺の前まで持ってきてくれた。
うーん、武器かぁ。このゲームをしてたときは剣か斧を使ってたけど、実際に使うってなるとどれがいいんだろう。とりあえず、ちょっと持ってみるか。そう思い、俺は目の前に置かれた剣を試しに持ってみた。
ズシっ
お、重!!!
やっぱり、実際の剣は当然重いよな。たぶん斧もそうだろう。かっこいいけど、実際に使うってなったらちょっとキツいな。
ってなると……
「……銃、がいいですかね」
俺は剣を置いて、銃を手に取ってみた。
銃なら、サバゲーで培った俺の射撃スキルを生かせるかもしれない。
「銃か!それじゃあ……こっちのショットガンなんてどうだ?散弾銃で近距離用の武器だが、有効射程距離はだいたい50メートルくれぇあるから、意外と汎用性が高い銃だぞ?」
ブランさんはそう言って、ショットガンを俺に手渡した。うーん、すごい。ゲームでよくあるテンプレートな説明だ。
俺はそんな事を思いながら、ブランさんから手渡された銃を手にした。持ってみると剣ほどじゃないけど、以外と重みを感じる。でも、戦闘で使えないほどの重さでもない。
「ショットガンは、カバー範囲が広いから対象にヒットさせやすいぞ。それからな~……」
その後は、ブランさんのショットガンの魅力と使い方の説明を延々と聞かされた。
「な、なるほど……じゃ、じゃあ、これにしようかな……」
目が回るくらい熱意のある話を聞かされた俺は、このショットガンを買うことにした。他にも今持っている所持金で買えるだけの防具や、道具もついでに購入することにした。ブランさんの営業トークが凄かったから。さすが商売人。
まぁ、狙撃系のゲームでも、ショットガンは強いって言うし。逆につまらんくなるって友人が言っていたような気もするけど。ここは俺にとって現実なんだし、なるべく強くて使いやすい銃の方がいいだろう。ブランさんもめちゃくちゃ勧めてくれてるし。
俺はもう一度改めて、ショットガンを見つめて、手にしている右手にギュッと力を込めた。
「これが俺のショットガン……」
く~~ショットガンGETだぜ!!
そんな某アニメのセリフを心の中で叫んでいると、後ろから武器屋の扉が開く音が聞こえた。
「あれ、信太?」
名前を呼ばれて後ろを振り向くと、そこにはあのソルが立っていた。
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