終局

作者 辰井圭斗

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★★★ Excellent!!!

私が以前Twitterでこそこそと隠れるように「辰井さんはすごい」と呟いていましたが、それはこの作品を読んだからでした。
バレてしまったようなので、今から頭の悪そうなレビューを。


作中の男は、自ら植えた花に自ら火をつける。
でもその火は彼を全く傷つけることなく大切な周りのみを焼き尽くしていく。
でも、見た目からは分からなくても彼自身の心には既に火の粉が飛んでいるのではないか。
はたまたこれは辰井さん自身の話ではないのか等など。
色々考えさせられて、あとがきまでも作品の続きであるようにじっくりと読んでしまいました。
このような短い作品で、こんなに一文目から惹きつけられる作品を今まで読んだことがありませんでした。
どこか偉そうに聞こえるレビューになってしまいました。
全く意図したものと違うことを書いていたらごめんなさい。
これからのご活躍をお祈りしております、

★★★ Excellent!!!

あなたはどうして、これまで積み重ねてきたそれを花に喩えたのでしょうね。

かつて"君"の花畑を訪れた人たちが、はたしていま何を想い、"君"の許へとこうして足繫く通っているのかは定かではなく。

花の色に誘われたのか、匂いに誘われたのか、それとも花々を慈しむ"君"という人にただ惹かれているのか。

あなたはどうして、これまで吐き出してきたそれを花に喩えたのでしょうね。

"君"が"君"自身を焼き尽くさんと放った業火は、本当にただの一つも"君"の躰を傷つけてはいないのでしょうか。かつて"君"の花畑を訪れた人たちの幻影は、とうに燃え尽きてしまったのでしょうか。炎の中を足掻いているのでしょうか。

あなたはどうして、これまで捧げてきたそれを花に喩えたのでしょうね。

その花を綺麗だと共に愛でてくれる誰かがほしかったのでしょうか。その花がぜひほしいと手を差し伸べてくれる誰かがほしかったのでしょうか。

それとも、その花に足を止めて──特別何を云うでもなく、笑みを浮かべる誰かがほしかったのでしょうか。笑顔にしたい誰かがいたのでしょうか。

私はどうして、あなたがそれを花だと喩えたわけを知ったふうに語っているのでしょうね。

何も知りなどしないくせに。

"君"の大切なものを奪いつくす一方で、"君"の肌を焦がすことさえできない──その出来損ないの業火にさえ、美しさを見出してしまうのはいけないことでしょうか。

地獄に美しさを見出してはならないなどと誰が決めた。

魅入られてはならないなどと誰が決めた。

私はどうして、あなたがそれを花だと喩えたわけを知ったふうに語っているのでしょうか。

ごめんなさい。

「結局、これぐらいしか思いつかなくて」