第133話 久しぶりの再会

「さて、ここから探すか」


俺は東のダンジョンの91階層にやってきた。そこから1つずつ階層を降りてリュキを探していく。


「…そういえば、91階層から下は竜が出るんだったな」


久しぶりにここにやってきたが、ここから下は竜が居るんだった。まだ幼竜しか出ないが、93階層からは火竜から始まり、大量の竜が出たはずだ。


「あの時は苦労したな…」


いきなり大量に出たから初見の時はかなり苦労した思い出がある。しかも93階層からは全ての竜を倒すと、勝手に次の階層に転移してしまうから大変だったな…。



「93階層にも居ないね」


93階層に転移してもまだリュキの存在が確認できなかった。というか、決め付けで91階層から探しているけど、さすがにリュキの強さ的に91階層よりも上に居るなんてことは無いよね?


「ん?あれ?火竜が少ないぞ?」


ここには大量の火竜が居たはずだが、今は全く居ない。


「恐らく、リュキが倒し切った後なので、リスポーンしている最中なのでしょう」


「なるほど」


つまり、ここから下にリュキが居ることはほぼほぼ確定したってことだ。俺はさらに次の階層へと向かった。



「まあ、そうだよな」


次の階層でも前に居た水竜は1体も居なかった。順に倒して行ったとしたら水竜も居ないはずだ。

俺は95、96、97階層へと続けて降りたが、リュキも竜も居なかった。次は98階層へと降りた。



「おっ!この下にリュキが居る!」


この下の99階層にリュキがいることが分かった。俺は急いで次の99階層へと降りた。

ちなみに、もちろんこの階層にも竜は1匹も居なかった。



「パパー!」


「ごほっ…!」


俺が転移すると、黒い何かが前からぶつかってきた。そのぶつかってきたものは俺の顔から足まで埋まるほど巨大だった。俺はそれの正体が分かっていたため、何とか吹っ飛ばされないように全力で踏ん張って数メートル引き摺られるだけで耐えた。普通に痛かったので、HPはそれなりに削られた気がするぞ。



「久しぶりだな。リュキ。大きくなっ…り過ぎだな」


「でしょー!!」


俺にぶつかってきたのはリュキの口先だ。口先ですら俺の身長と同じくらいある。少し浮きながらくねくねと体が曲がっているから正確には分からないが、100m以上はあるんじゃないか?


「って言うか、こんなに大きくて動きずらくないのか?」


長さが増したので、それに合わせて身体も太くなっている。この階層は上位種よりも強い竜が大暴れできるように広く高くなっているが、それでもリュキが好き勝手に暴れ回るには少し狭いだろう。


「いつもは大きさは変えてるよ?ただ、今は大きくなったのをパパに知ってほしかったの!」


リュキはそう言うと、身体の大きさをどんどん小さくしていった。最終的には産まれた時とほとんど変わらないくらいの大きさにまで小さくなった。そして、俺の首に巻き付いてきた。


「えへへー!久しぶりのパパの首〜」


なにこの可愛い生き物…。俺はリュキの頭を撫で回した。

ちなみに、リュキが首に巻きついてきても全く重さを感じない。リュキが自分で浮いてでもいるのだろうか?



「あ、この階層の竜達は倒してるのね。休憩中?」


しばらくリュキを撫で回してのんびりした後に俺はそうリュキに質問した。リュキはもうこの階層の竜は全て倒し終えたようで、ここには俺とリュキとカグロしかいない。


「ううん。今はユニークが現れるのを待ってるんだよ!」


「え?」


どうやら、今までリュキは93階層から竜を狩り尽くしていき、99階層で現れたユニークを倒して経験値を稼いでいたようだ。どうやら、次の100階層で竜を倒すよりもその方が経験値の効率が良かったらしい。そんなことまで計算できるなんてリュキも頭が良くなったな。



「今まではどんなユニークが出たの?」


「ここの階層の竜のどれか1体が強くなって出てきたよ」


「そうなのか」


確かこの階層に現れた竜は紅炎竜、氷結竜、雷電竜、結晶竜、常闇竜、神聖竜、混沌竜の7体だ。そのどれかが進化したのが現れるだけというのは、6階層分のユニークモンスターにしては弱い気がする。だって、俺が67階層から69階層のワイバーンを狩り尽くした時は新種のケルベロブラックワイバーンという変なワイバーンが現れたからな。



「あ、ユニークモンスターが現れてきたよ!」


「ん?」


何てことを考えていると、ちょうど少し遠くではあるが、この階層でユニークモンスターが現れたようだ。少し遠くと言っても、ここからでも目視でその姿を捉えることができる距離だ。



「えっと…リュキ。あれはどれの進化か分かる?」


「あんなに首がいっぱいなのは初めてなの…。だからリュキは分からないよ」


ここから見える場所に現れたモンスターは首が7本ある。嫌な予感しかしない。


「マスター…また変なモンスターを生み出しましたね」


「え!?俺のせいじゃなくない!?」


93階層から98階層の魔物を狩り尽くしたのはリュキだ。だから俺のせいでは無いはずだ。まあ、リュキのせいということはそのテイム者である俺のせいということにもなりそうだけど…。


「マスターが来た時に初めて新種が現れたのですから、当然マスターのせいでしょう。マスターには前科もありますから」


「おっふ…」


そもそもリュキは関係なく、俺のせいだったようだ。運がリュキよりも高いせいなのか?だが、運が少し高いだけでこんなにユニークモンスターが変わるもんなのか?


「ステータスを表示します」


ナービはそう言うと、現れた新種のステータスを出してくれた。最近よく相手をしていた四神はステータスが見れないので、モンスターのステータスを見るのは久しぶりだ。




【名前】 

【種族】  紅氷雷晶闇聖混竜

【年齢】  0

【レベル】 10

【ランク】 SSS+?


【HP】   420000/420000

【MP】   340000/340000


【攻撃】  15585

【防御】  16,080

【魔攻】  16,155

【魔防】  16,145

【敏捷】  15,980

【運】   0


【スキル】

・火炎魔法Lv.MAX・水流魔法Lv.MAX

・暴風魔法Lv.MAX・岩石魔法Lv.MAX

・暗黒魔法Lv.MAX・光明魔法Lv.MAX

・雷電魔法Lv.MAX・氷結魔法Lv.MAX

・黒炎魔法Lv.MAX・雷炎魔法Lv.MAX

・爆発魔法Lv.MAX ・氷嵐魔法Lv.MAX

・黒氷魔法Lv.MAX ・黒雷魔法Lv.MAX

・雷光魔法Lv.MAX ・聖火魔法Lv.MAX

・聖水魔法Lv.MAX・炎晶魔法Lv.MAX

・風晶魔法Lv.MAX・水晶魔法Lv.MAX

・結晶魔法Lv.MAX・黒晶魔法Lv.MAX

・光晶魔法Lv.MAX・電晶魔法Lv.MAX

・氷晶魔法Lv.MAX・爆晶魔法Lv.MAX

・詠唱省略Lv.MAX・無詠唱Lv.MAX

・統率Lv.MAX・連携Lv.MAX

・水中高速移動Lv.MAX・水中呼吸Lv.MAX


【ユニークスキル】

・紅炎魔法Lv.MAX ・常闇魔法Lv.MAX

・神聖魔法Lv.MAX ・混沌魔法Lv.MAX

・虚無魔法Lv.MAX・竜魔法Lv.MAX・竜気Lv.MAX

・覇気Lv.MAX・神速再生Lv.5・全大耐性Lv.MAX

・合体魔法Lv.MAX・神速飛行Lv.MAX


【エクストラスキル】

・竜?魔法Lv.MAX


【称号】

・ユニークモンスター

・亜竜

・竜??

・火の竜王?

・水の竜王?

・風の竜王?

・土の竜王?

・闇の竜王?

・光の竜王?

・?の竜王?

・竜王?の統括

・新種




「えっと…ツッコミたいところは沢山あるけど、普通に強くね?」


まず、全ステータスが俺よりも高い。しかも、HPとMPに関しては異常な量だ。俺の4倍以上あるぞ。

そんなこいつの見た目はそれぞれの属性を纏った7つの首に7本の尻尾が1つの胴体に生えていて、背には巨大なカラフルな羽が生えている。

体長もリュキには及ばないにしても、50m近くはあるだろう。ただ、でかい胴体があるため、リュキよりも遥かに重いだろう。


「6階層分の竜達の集合なので、この強さは妥当でしょう」


「まあ…そうか」


大量の竜達が合わさったと考えればこの強さも妥当と言えば妥当だろう。


「魔族達への迎えの時間まで後1時間ほどしかありませんよ」


みんなの送り迎えをしたり、リュキと久しぶりの会話をしていたらかなり時間が経っていたようだ。


「さすがに放置は無理だよね?」


「無理です」


この場にこんなイレギュラーなモンスターを放置したら何が起こるか分かったもんじゃないそうだ。

最悪の場合はダンジョンを破壊して魔族の街や地上までやってくる可能性があるそうだ。こんなのが暴れたら死人が大量に出てしまう。


「リュキと協力して1時間以内に片付けましょう」


「あ、リュキのステータスは?」


そういえば、リュキのステータスをまだ見せてもらっていない。


「表示し…もう時間が無いですね。リュキのステータスは後にしましょう」


「あ、そうだね」


新種が俺達の事に気がついたようで、こっちに向かってきている。


「パパにリュキも戦えるようになったってことを教えてあげる!」


リュキはそう言うと、俺の首から離れて10mくらいの大きさになった。きっとこれくらいの大きさが戦いやすいのだろうか?


「よし!行くぞ!」


「うん!」


そして、俺とリュキは向かってくる新種を迎え撃つために前に走り出した。


『ちなみに、リュキのステータスはまだマスターより低いくらいです』


「そうか…ん…?まだ!!?」


え?もう少しでリュキにステータスで負けそうになってるってこと!?それには驚きだが、それだけリュキが努力して成長したという嬉しい報告だ。

さて、リュキと協力してこのアホみたいなHPの新種を1時間以内に倒さないとな。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る