第46話 理由

〈高速崩壊を使いなさい!〉


ナービにそう言われて反射的に高速崩壊でベットを一瞬で崩壊させた。


〈首トンをしなさい!〉


ベットが急に壊れたことによって血液魔法の集中が薄まったのか、体の操りが弱まったのでその隙にナービの言う通りに動いて族長を気絶させた。


〈今回は私が油断しすぎました。もし命を狙われていたならば危なかったです。申し訳ありません〉


〈いや…別に大丈夫だよ…〉


〈次はこんなことは誰にもさせません〉


今になってものすごくもったいないことをした気分になってきた。

しかし、ナービに言われた時に自然と言う通りにしてしまったのはなんでだろう?


(戦闘中に言ったことを反射的に行わせておいてよかったです)


〈なんか言った?〉


〈なんにも言ってませんよ〉


気絶させてしまったのでベットを修復を使って元通りにして寝かせておいた。


〈では、今のうちに血液魔法を取得しましょう〉


〈できるの?〉


〈できます〉


覇王の効果で技術としっかりとした指導者が入ればすぐにでも取得できるそうだ。


〈自分に流れる血液に魔力を流し込んでください〉


言われた通りにやろうとしてみるがなかなか上手くいかなかった。しかし10数分後には少しずつできるようになってきた。


『ピコーン!』

『血液魔法Lv.3を取得し、覇王Lv.6と統合します』


結果としては30分ほどで取得できた。取得できてわかったがこの魔法は色々と応用が効きそうだ。

自分の魔力を流したことによってもう操られることはないそうだ。




「ん、んー……」


「あ、起きた?」


血液魔法を取得して30分ほどたって族長が起きた。


「ん…あ!も、申し訳ありませんでした!!」


「あ、うん…大丈夫だよ?」


気絶する前のことを思い出したのか急に土下座で謝り始めた。


「わ、妾はあまり血を飲んだことがなくて…」


詳しく聞くと吸血鬼は血を吸うと酔ったような状態になってしまうそうだ。また、自分より吸った相手ステータスが高いほどより酔いやすくなってしまうらしい。



「質問していい?」


「ど、どうぞなのじゃ!」


族長と会ってから1番気になることを質問した。


「どうして初対面の俺にそんなに懐いてるの?」


最初から疑問だった。普通は初対面の男に抱きつこうとはしないはずだし、酔った勢いとはいえ性的に襲おうともしないはずだ。


「妾の父上はここに転移する1年ほど前に病気で死んでしまったのじゃ。それ以降は妾が族長をやってきたのじゃ」


母は3歳になる頃に病気で亡くなってしまったようだ。そして父は病気で亡くなる最後の1日まで魔族のことを思って族長をやっていたようだ。


「父上の最後の言葉が『これからは俺の代わりに魔族を頼むぞ』だったのじゃ…」


父は自分が長くないのを知っていたのか、この子のことを魔族の誰よりも強くするために鍛えていたそうだ。それによって最初はこんな小娘が族長なのか、と文句を言った者も実力で黙らせていたようだ。


「妾は強い父上の娘だから大丈夫だ、と自分を言い聞かせながら族長をやっていたら気付くと傲慢の称号を手にしていたのじゃ…」


この子の父は魔族の中でおとぎ話にしかないとされる王のランクを獲得できるかもしれない、とまで言われるほど強かったそうだ。だからそんな父の娘だから大丈夫と自分を言い聞かせながらやってきた。


「そしてここに転移してからも同じように自分に言い聞かせてやってきたのじゃ…。でも妾はもう限界だったのじゃ。魔族の長として他の皆の前では強気な態度を取ってきたのじゃが1番不安で怖かったのは妾なのじゃ…」


この子は父の遺言を守らなければと一生懸命になり過ぎているようだ。


「もう妾が壊れてしまいそうだと思った時に現れたのが魔王様だったのじゃ」


魔王なら自分より強いかもしれないからやっと強い人に寄りかかれると思って安心したそうだ。


「そしてここにやって来て会えると思ったら魔王様が覇王様になったのじゃ」


魔王様なら自分より弱い可能性も合ったが覇王様は全ての種族の頂点のため自分より弱いことがない。しかし、それ故にもしもの時は魔族のために命を賭しても戦わないといけないとまた不安になったそうだ。


「じゃが、じゃが!、心眼で見たら『こいつならお前が頼っていい相手だ。ここまで俺の代わりに魔族をよく導いてくれた。さすが俺の娘だな』って出たのじゃ」


心眼は父が亡くなった時に取得していたようだ。このスキルは相手の心がわかる。

それ故に相手が自分の事をよく思っていない、とかも全部わかってしまっていたようだ。


「うっう……」


そう言って泣くのを堪えている。

まだこの子にとってはまだ族長は1人で頑張らなければいけないと思っているのかもしれない。


「今まで1人でよく頑張ったね。これからはもし魔族になんかあったら俺も味方するから頼ってね」


「頼っていいの……?」


「いいよ」


「もう1人で頑張らなくてもいいの……?」


「いいよ」


そこまで言うと抱きついて来て大きな声を上げて泣き始めた。今まで泣くこともできなかったのだろう。頭を撫でながら好きなだけ泣かせてあげることにした。

今は父の言葉と覇王ということで頼られたけどいつかはそんなこと関係なく「俺だから」という理由で頼ってもらいたい。


〈そういえばまた抱きつかれたけど止めないの?〉


〈私は何も見てません〉


〈ありがと〉


ナービは今回は見逃してくれるそうだ。







「……皆さん今のを聞いてどう思いましたか?」


私たちは部屋から戻ってくるのが遅いと思って長たち全員で何かあったのかと部屋の前まで来ましたが、族長が話をしていたため終わるまで扉の前で話が終わるのを待っていました。


「…恐らく原因は私たちが弱いからです。私たちは族長にとっては「守るべき弱者」なんでしょう…」



ここで私たち長はある決心をした。




『族長がつい頼ってしまうほど強くなろう』と。













【名前】  斉藤 零

【種族】  覇王 

【年齢】  19   

【レベル】 1   ★

【ランキング】 1位


【HP】   24120/24120

【MP】   19000/19000


【攻撃】  2480+140   

【防御】  2044+100   

【魔攻】  2480+140   

【魔防】  2044+100   

【敏捷】  2698+40   

【運】   100       


【スキル】

・手加減Lv.3・指導Lv.3・騎乗Lv.3・吸血Lv.8

・超音波Lv.9・罠精密感知Lv.5・罠解除Lv.8

・偽装Lv.MAX・変装Lv.4・熱精密感知Lv.3

・連携Lv.MAX・指揮Lv.3・気配精密探知Lv.MAX

・水中高速移動Lv.9・水中呼吸Lv.MAX

・無呼吸Lv.MAX ・危険精密察知Lv.MAX


【ユニークスキル】

・【ステータス】極大強化

・ナビゲーション・高速崩壊Lv.3

・神速多重思考Lv.3・全大耐性Lv.3

・超高速再生Lv.3・疾風迅雷Lv.3・竜魔法Lv.7

・修復Lv.6・神速飛行Lv.3・性聖Lv.3


【エクストラスキル】

・覇王Lv.6・魔眼Lv.3・武眼Lv.3・強欲Lv.5


【称号】

・先駆者

・挑戦者

・一騎当千

・耐え忍ぶ者

・強欲

・新種

・種族の王

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