自然をじっと見つめる作者のまなざしに引き込まれて読み進めていくと、武蔵野の野で寄り道したような不思議な感覚に包まれます。
子供の間違いを正す厳しさと、何食わぬ顔でまんじゅうを頬張るユーモラスな姿。命を守る優しさと、命を奪う残酷さ。猛威と恩恵が同居する、善悪などという人間の物差しでははかれない存在。作者の自然…続きを読む
1行目を読み始めてすぐに、時間の流れが変わりました。焦るがゆえに、心の内のスピードと周囲のスピードがちぐはぐになっていく覚束なさが、ヒヤリ、ぞくり――と、日本ならではのじっとりとした怖さを加速させ…続きを読む
武蔵野の境界にある小さな沼が舞台の伝奇的小説。 沼は小さい分、深い。そこでは蛙が産卵し、オタマジャクシが育つ。 その沼には「沼すべり」と呼ばれる怪異があった。好奇心旺盛な主人公は、干上がった沼…続きを読む
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