第46話 1週間の成果
あれから、3日が経過した。ルイスは、前線に少しだけ出るようになり、前線プレイヤーはかなり助かってる。たまに、何処に行ってるか分からんけど。
料理をしながら、トッキーと情報交換しているルイスを見て思わず言う。もちろん、悪気は無い。
「何だよ、心配なら見に行けば良いだろ?」
「ユンゼさんに、纏わり付かれるのが嫌なので。」
ルイスは、本当に嫌なのか苦々しく呟く。
「お前、本当に癖の強い奴らに好かれるよな。」
マッキーは、珈琲を飲みながら言う。ルイスは、暢気に笑いながら困ったように言う。
「まぁ、僕も癖が強いですからね。」
「ふーん、自覚はあったんだな?」
俺がそう言えば、無言で視線を逸らすルイス。
やれやれ………
「それで、何を作ってるんだ?」
「ロールキャベツを、作ってみました。効果は、60秒間の継続HP回復。それと、異常を1回だけ無効にしてくれるみたいです。これは、なかなか………。」
ルイスは、少しだけ考えるように呟く。
「おう、強い効果だな。」
「ですね。」
ルイスは、エプロンを脱ぐ。そして、近くに置いてあったマグカップ片手にキッチンから出て座る。
「ちなみに、ルイスは何を飲んでいるんだ?うーん、紅茶や珈琲では無いな。匂いが、しないし。」
「緑茶ですよ。やっと、出会えました。紅茶葉は、良く見かけるのですが茶葉は出会えませんでした。しかし、運良く商人さんを助けたらくれまして。」
ルイスは、ガッツポーズをして言う。
「効果は?」
「ラック上昇です。」
すると、マッキーは微妙な表情をする。
「何で、そんなに嬉しそうなんだ?確かに、生産職業には嬉しいだろうけど。違うよな?」
ルイスは、えっへんと言いたげに説明する。
「ラックと言えば、クリティカル率上昇とドロップレア度の確率が上がるだけですよね?でもこの緑茶には、相手から受けた攻撃のダメージを高確率で下げる効果があります。つまり、一発で死ぬ即死攻撃を受けても……高確率で生き残るんですよ。」
それは、ヤバい!と言うか、見つけにくい理由はそれか!これ、劣化版蘇生薬と幸運緑茶さえ有れば前線レイドも善戦出来るんじゃないか?寧ろ、これからルイスが抜けるのを考えると買う必要があるな。
「商人さんと、交渉して茶葉を送って貰える事になったんですよ。これで、抹茶とか作れたら料理の幅がひろがりますね。緑茶の効果を、受け継ぐなら効果を追加する事も出来るはずですし。」
うん、ルイスが上機嫌な理由が凄く分かった。これは、偶然だとしても嬉しすぎる。本当に、欲しい。
「おう、期待して待ってる。」
「はい♪」
ルイスは、楽しそうに笑うのだった。
グレン視点
初代七王は、変わり者の集まりだった。
冒険と戦闘が、何よりも大好きで暴れん坊の剣王ドラコフ。魔法の研究になると、口数が増えて話が長くなる魔法馬鹿の魔術王ソロン。心配性で、無自覚に世話好きな聖王ジャンヌ。心は、拳で語り合うものだと言い続けた戦闘狂の拳王リオウ。口数が少なく、重度のシスコンにして紳士である盾王ニダス。趣味は、ストーカーで美人を愛する変態の暗殺王ジャック。そして、他を凌駕する錬金術を使えた為に恐れられ孤独になった天才……錬金王カリオストロ。
そして、現在の継承者は………
《剣王》ドラコフ(グレン)
《魔術王》ソロン(アリーシア)
《聖王》ジャンヌ(???)
《拳王》リオウ(マリーヌ♥)
《盾王》ニダス(鮭大根)
《暗殺王》ジャック(羅華)
《錬金王》カリオストロ(ルイス)
鮭大根さんは、元々は盾王と拳王だった。しかし、勝負に負けて拳王の称号を失ったらしい。あと、不明なのは聖王。次のワールドクエスト、その勝利の鍵となると噂されているんだけど。その存在は、不明で継承者はNPC説も出てきているようだ。
さて、その初代七王だけど……。剣王は、当時13歳だ。当然、現在も23歳で現役の暴れん坊である魔術王は、1200歳を越えるが青年の姿。残念ながら、聖王は死んでいるが娘が聖女として働く。拳王も、死んでいるが技術を継承した息子が居たはず。盾王も、残念ながら死んでいる。しかし、妹が技術を継承したらしい。暗殺王は、生きてます。現役の変態で、クエストにチマッと出てくる。そもそも、悪魔なので長生き。早く、変態属性よ消えろ!
そして、錬金王は言わなくても良いか。
前置きが、長くなったが……。剣王は、生きている。俺は、称号しか継承してない。ルイスは、カリオストロから称号だけでなく技術スキルや知識等を継承しているのにだ。かなり、俺は出遅れてるな。
ちなみに、ルイスの錬金術。簡単に書けば、基本技[調合][錬成]・得意技[調合錬金][錬成錬金][加工錬金][戦闘錬金]・必殺技[不明]・秘伝[古代錬金術][神代錬金術][不明]・奥義[不明]・秘奥義[不明]ならしい。
どうやら、この不明の所にはスキルが元々あったらしい。しかし、錬金王の称号を貰ってから戦闘錬金として1つにまとめられたらしい。
ちなみに、俺の場合の剣術。簡単に、書けば基本技[剣技][素振り]・得意技[防御の構え][攻撃の構え][剣の構え][戦闘剣武]・必殺技[業火聖剣]・秘伝[鳳凰炎舞]・奥義[剣の舞・カグツチ]・秘奥義[不滅炎斬]だな。
さて、ドラコフさんは仁王立ちで立っている。
「俺に、何の用だ?」
「剣技について、教えてくれませんか。」
すると、ドラコフは鋭い視線をグレンに向ける。そして、フッと笑うと考える仕草をする。
「そうだな、基本は出来てるようだし時間も無い。だから、すっ飛ばしてと……そうだな、模擬戦で俺にその剣が掠りでもしたら教えてやるよ。」
そう言うと、ドラコフは模擬剣を構えた。
うっ、威圧感が……。でも、やるって決めたんだ。
グレンは、それでもゆっくり剣を構える。そして、自分の持てる全てをぶつける事にした。
「うぉおおおおっ!」
くっ、掠らせるのに4日も経過するなんて………。いや、色んなスキルを獲得したから良いんだが。
「おうおう、大丈夫かグレン?」
「何か、目が回って………」
でも、約束の日まで時間がない!
「そこまでして、そいつの相棒で居たいのか?」
「……楽しいんだ。ルイスと居ると、本当の自分を隠さなくて良いからさ。そんなルイスが、困っているなら友達だし助けたくて。でも、相手は技術的に格上で。火力では、俺が勝ってるけどさ。けど、相手は手練れだし火力でごり押せる相手じゃない。」
グレンは、悔しそうに唇を噛む。すると、ドラコフはワシャワシャっとグレンの頭を荒く撫でる。
「焦るな。焦りは、無駄しか作り出さない。取り敢えず、休憩してからダンジョンに行くか。」
「ダンジョン?」
グレンは、首を傾げる。ドラコフは、ニヤリと笑うとサムズアップする。グレンは、キョトンとした。
ぬぅあああああっ!何だよ、あの化け物!
「ほーれ、走れ!走れ!死ぬぞぉー!」
「この、スパルタがぁー!」
ピコン スキル【神速】を習得しました。
「【神速】は、あると便利だぞ。初代七王メンバーは、全員が習得していたし。それより、前に敵が6体だな。構えろよ?エンカウントまで、15秒。」
グレンは、剣に手を掛けて通りすがりに斬る。
「よーし、次にいくぞ。ちなみに、さっきの化け物は徘徊モンスターだな。余り、経験値的にも旨く無いから基本は俺が斬る。目指せ、レベル200!」
ぬぅおおおおおっ…………!
「さて、ボスに用は無いし此方だ。」
「え、ボス戦しないのか?」
グレンは、走りながら言う。
「俺でも、1人じゃ倒せねぇんだぞ?」
「よし、ボス部屋を回避して進もう!」
青ざめて、ドラコフを追いかける。
そして、その場所には中央に剣が刺さった台座がある。ドラコフは、一瞬だけ真剣な表情をして笑う。
「それじゃ、あの剣を抜いて来い。」
「ん?おう、せーの!」
剣は、あっさり抜けてしまう。すると、竜が現れるがグレンを見てからドラコフを見る。そして、頷くと消えてしまった。グレンは、驚いた表情である。
「やっぱり、継承者だったのか。」
「え?」
「その剣、見てみろよ。」
「こっ、これって!?」
七王武器:希望の剣
「おめでとう。まぁ、頑張れ。」
ドラコフは、ゆっくり歩く。
「これ、カリオストロが見たら驚くかな?」
すると、ピタッとドラコフは止まり驚く。
「あいつ、生きているのか!」
「え?その、ドールに人格を付与したとか………。」
すると、心から嬉しそうに笑い涙を流す。
「そっか、元気にしてるのか?」
「カリオストロは、ルイスの師匠だ。今では、ホームでポーションを作ったり売ったりしてる。」
すると、ドラコフは嬉しそうに頷くと言う。
「よし、決めた。俺も、お前のホームに挨拶しに行く。それに、ルイスにも会ってみたいしな。」
こうして、2日のダンジョンが終わった。
こうして、当日………試合が始まった。希望の剣は、卑怯なのでつかわない。ルイスは、俺を見てから驚いている。あ、希望の剣を装備したまんまだった。
装備を変更し、【神速】でスタートを切る。
「くっ、ゴキブリなみの速さね。」
「………(やはり、速いだけじゃ駄目か。)」
グレンは、撃ち合いに変更して斬り合う。
「【氷華乱舞】!」
「【鳳凰炎舞】……」
すると、周りから歓声が聞こえる。
相殺は、何とか出来たな。
「嘘でしょっ!?【大輪の氷華】!」
「【業火聖剣】」
グレンは、自分を被うような氷を蒸発させる。
「【最後の業火】」
ドパーン!
一瞬にして、ユンゼのHPが消し飛んだ。グレンは、深呼吸してからルイスを見る。そして、サムズアップする。すると、ルイスは驚いてから笑う。
「グレンも、レベル200に到達したんですね。」
「え、何で分かるの?」
すると、ルイスは嬉しそうに言う。
「即死攻撃は、レベル200から低確率で習得が出来るらしいです。まあ、条件が厳しいらしいですけど。僕も、即死スキルは一応は持ってますし。」
「へぇー。」
ユンゼは、座る込み立ち上がらない。グレンは、ユンゼに手を差しのべる。そして、笑って言う。
「とても、楽しかったぜ!」
すると、ユンゼは顔を赤くする。
「天然って、怖いですね。」
ルイスが、言えばトキヤは呆れる。
「それは、お前が言える台詞じゃない。」
「にしても、あっさり落ちましたね。」
「「「落ちたな。」」」
何に、とは言いませんが。今度の、バレンタインイベントが色んな意味で楽しみですねー。
ここで、全員がログアウトする事になった。
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