第45話 氷華の剣姫
さて、やっと平和になりましたぁ~!もう、暫くはダラダラしていたいです。せめて、戦いたくない。
「お邪魔するわ。ここに、ルイスさんが居ると聞いて来たのだけど?あら、放火馬鹿じゃない。」
「は?あー、なるほど。あんたが、ユンゼか……。」
ルイスは、二人に挟まれた状態である。
「あら、放火馬鹿にしては良く知ってるわね?」
「それで、用件は?」
すると、ユンゼは剣を抜いて言う。
「ルイスさんの、相棒に相応しいのは私よ!」
「それは、ルイスが決める事だろ?」
ぬぅあー!此処で、喧嘩をするなぁー!
「ルイス、ヒロイン的な立ち位置だな。」
マッキーは、ケーキを食べながら言う。
「いいぞぉー、もっとやれぇー♪」
レンジは、笑いながら見ている。
「今なら、あの台詞が言えるんじゃないか?」
トキヤは、ニヤニヤしながら言う。
「僕に、言えとおっしゃいますか……。はぁー、まったく。2人トモ、僕ヲ巡ッテ争ワナイデ……。」
ルイスは、気の無い棒読みで台詞を言う。
「「だって、こいつが悪い!」」
「ここ、ホーム兼お店の中だって忘れてません?」
ルイスは、頭が痛そうに突っ伏す。
「…………マッキーさん、お願いがあります。」
「良いぞ。暫く、俺のホームに逃げてても。」
マッキーは、ニヤニヤしてるトキヤとレンジに呆れた視線を一瞬だけ向けてから。頭が痛そうに、突っ伏すルイスの頭を撫でる。ルイスは、顔を上げる事なく呻くような雰囲気でため息まじりに言う。
「ありがとうございます。」
「おうよ。ゆっくり、休め。」
マッキーは、珈琲を飲みながらこの状況をどうするか考える。そして、小さくため息を吐き出す。
ルイスは、ユンゼの事を苦手に感じているので避難させるのは確定だ。じゃないと、精神的にルイスがダウンしてしまうだろうしな。ダウンは、まずい。
何にせよ、暫くは自分のホームで、美味しい料理が食べられるのは確定だなと暢気に思う。
グレン視点
ユンゼは、紺色の髪に水色の鋭い瞳を持つ美少女。確かに、美少女だが………俺とは気が合わない!
「何で、俺がルイスの相棒に相応しくないんだ!」
「タッグバトル・コロシアムの最終戦。その時に、貴方が敵のヘイトを集めるべきだった!なのに、貴方は大したダメージも与えられなかった!ルイスさんは、ヘイトを稼がないように立ち回る必要があったから………貴方のせいで、ルイスさんは負けた!」
グレンは、目を丸くしてから青ざめルイスを見る。
確かに、俺が上手くヘイトを稼げれば。ルイスも、動き易かっただろうし善戦していたはず。レベル差が、圧倒的で俺のダメージは通ってなかった。
「そ、れは………」
「だから、貴方は相応しくない!」
ルイスは、ゆっくり顔を上げる。グレンは、ルイスの顔を見るのが怖くて思わず俯いてしまう。
ルイスは、どう思っているんだろうか?
「グレン、何を俯いているんですか?」
ルイスは、暢気に笑ってから首を傾げる。
「………ごめん。」
思わず、口から謝罪の言葉が溢れた。
「グレン、何で謝るんですか?」
ルイスは、キョトンとしている。
何でって、それは……それは、俺のせいで!
「だって!」
ルイスは、ため息を吐き出す。グレンは、また俯いてしまった。ルイスは、ユンゼを見てから言う。
「何で僕が、君を相棒から外したか。ここに、来たという事は答えを見つけられたのですか?」
「いいえ、分かりません。」
ユンゼは、真剣な表情で言う。ルイスは、冷たい雰囲気を纏うと呆れた声音でため息まじりに言う。
「ならば、グレンの事を馬鹿には出来ませんね。」
「私は、彼より強いです!」
確かに、ユンゼの方が俺より強い。けど、ルイスは俺を庇ってくれる。少しだけ、嬉しいと思う。
すると、ルイスはロールしながら言う。
「いつ、僕が強さだけで相棒を決めると言った?」
「それは………」
すると、周りは興味深い様子で見守る。トキヤも、ふざけるのを止めて苦笑している。レンジも、無言で話に耳を傾ける。マッキーも、頷いて聞いてる。
あ……、そうだ。ルイスは、何だかんだで強さを重視した事がない。強いから、優遇するとかしない。その証拠に、初心者にも手を差し伸べ仲間にした。その初心者が、大きな爆弾を持ってても気にしてなかった。そうだ、根本的な事を間違えてる。
ルイスは、強さで人を選ばない。
ルイスは、少しだけ怒ったように言う。
「それは、僕を馬鹿にした発言です。自覚が無いですし、尚更に質が悪い。そういうの、嫌いです。」
「おお……、なかなかストレートに振ったな。」
トキヤは、暢気に呟けばハッとするルイス。
「ちっ、違いますよ?その、性格的に嫌いなだけですし。と言うか、グレン?そろそろ、正気に戻ってくれませんかね?もう、終わった事ですし気にしてませんよ!それだけが、敗因では無いのは理解してますから。おーい、早く戻って来てください。」
ルイスは、オロオロと言えばマッキーは笑う。
「まぁ、連係練習も無しのぶっつけ本番だったしなぁ~。寧ろ、そんな状況で2位になった時点でおかしいからな。お前らの技量は、ランカーに負けず劣らずの化け物クラスだと今でも思うけど?」
「それは、俺も同意する。元ランカー視点でも、ルイスとグレンのコンビ技量はヤバいと思う。」
レンジは、頷いてから苦笑する。
そうなのか、それは嬉しいな。もっと、頑張らないとな。伸び代の限界、その先を目指すつもりで。
「しかも、二人ともまだ伸び代があるんだよな。そして、戦闘途中で急に技量が跳ね上がるから怖い。ガチ勝負では、気が抜けないし毎回地獄だ。」
トキヤが、遠目でげっそり言えば周りは驚く。
「モノクロコンビで、なんとか押さえられるレベルだからな。まあ、俺達もまだ伸び代は有るけどさ。と言うか、2人なら前線に出ても問題が無いレベルだし。てな訳で、是非とも前線にウェルカム!」
マッキーは、その場を和ませるように笑って言う。
「そうですね。お店は、トキヤさんに任せても?」
「おう、任せろ。」
トキヤは、笑顔で頷く。
「では、僕は前線の街に避難します。」
「え、必要無いんじゃ……」
マッキーは、キョトンとするが。ずっと、黙っていたユンゼがグレンを見てから大声で言う。
「業火のグレンに、決闘(PVP)を申請するわ!」
「嘘だろ、まだ諦めて無いのかよっ!?」
マッキーは、表情を引きつらせて言う。
うん、俺もびっくりだ。でも、丁度いいかな。
「ここまで来ると、いくら美少女でも寒気がな。」
トキヤは、思わずルイスを見れば青ざめている。
「分かった。でも、一週間後にしてくれ。」
グレンは、落ち着いた瞳で真っ直ぐユンゼを見る。そして、ルイスをゆっくり見るとニカッと笑う。
「ルイス、頑張るから待っててくれよな。」
ルイスは、驚いてから嬉しそうに笑って言う。
「はい、待ってますね。」
「じゃあ、暫くはお別れだ相棒!」
グレンとルイスは、ハイタッチして言う。
「「またな!(またね!)」」
こうして、グレンは最初の街に。ルイスは、前線の街にとどまる事になった。決闘は、一週間後。
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