第39話 クリスマスイベントの騒ぎ
さて、クリスマスイベントについて……
内容は、とても簡単です。
☆戦闘イベント
通常イベント:奪われたプレゼントを回収しよう。
レイドイベント:ブラックサンタ討伐。
☆生産イベント
通常イベント:星の欠片を集めよう。
メインイベント:売り上げランキングトップ10
さて、星の欠片は貢献度で貰えます。クリスマスイベントでの、貢献度で貰えて集めると聖夜シリーズのアイテムや武器……そして、装備と交換できます。
といっても、貰える物はランダムなのですが。
ちなみに、プレイヤーは戦闘特化でも手伝えば、生産イベントに参加した事になります。同盟で参加した場合も、メンバーとして数えられるのでお得ですね。なので、ソロやタッグなどの少人数には辛いイベントとなります。また、メンバーが多いほど報酬が多くなるので現在スカウトラッシュ中です。
ちなみに、運営はクランや同盟に入るのを推奨しています。この期間だけ、同盟に入るのもありです。
ちなみに、同盟にも24のクランが期間限定で入っており、互いに競いつつ支え合っています。さて、僕達も負けてはいられませんね。
「ルイス、こっちに来て。」
「うぅ……。スカート、短いですよね?」
ルイスは、恥ずかしそうに言う。
「大丈夫よ。さて、髪型をどうしましょう?」
ルイスの髪ゴムを、素早く取ってから考えるシャルム。ルイスは、凄く落ち着きがない。
「おっ、お手柔らかに……本当に、お願いします!」
ルイスは、涙目で下から見上げるように言う。
「うっ……、これは同性でもヤバいわね。」
「何か、女として負けた気がします。」
Annさんは、落ち込んだように呟く。
「よし、お姉さんが可愛く結ってあげる!」
「では、編み込みをいれてから……」
二人は、楽しそうに笑っている。
「ルイス、これは詰め物ね。胸あたりに入れて。」
「こう、ですか?」
ルイスは、苦笑すると言う。
「あの、出ないと駄目ですか?」
「頑張れ、聖人様……いや、聖女様か?」
ルイスは、ため息を吐き出すと立ち上がる。
ふむ、聖女様ですか……。ルイスは、声を高くするように意識して、雑音にならないように声を出す。
「まぁ、私が聖女なんてありえませんが。」
すると、店内が静かになる。
「ん?えっと、どうかしました?」
ルイスが、キョトンと首を傾げる。グレンは、ルイスに必死な様子でお願いのジェスチャーをする。
「ルイス、そこは演技なしで!」
「何故です?」
こうなれば、演技しないと精神的に無理です!ちなみに、小学校ではお姫様役とか女性の役しかさせて貰えませんでした。なので、少しは得意ですよ!
(※ルイスは、やけくそになってます。)
「これは、護衛が必要だな……」
バロンは、苦笑して言う。
「いいえ、必要ありません。」
ルイスは、素っ気なく言うとお店を開けて言う。
「皆さん、お待たせしました。開店しまーす♪」
すると、全員が驚いている。
「えっと、ルイスさん……だよな?」
「恥ずかしいので、言わないでください。」
ルイスが、表情を赤らめて言うとざわめく店内。ちなみに、ルイスを赤らめさせた男は外に引きずられて行った。ルイスは、キョトンとして見送る。トキヤは、驚いてから全力でルイスに近寄って言う。
「ルイス、俺達が悪かった……。今すぐに、着替えて来てくれないか?とても、心臓に悪すぎる。」
「今更、言っても遅いですよ。」
ルイスは、花が咲くような笑顔で言う。
「ルイス!?」
さて、こうなれば客寄せパンダのように頑張りますか。さて、現在のランキングは54位ですか……。
では、追い上げて行きますよ!
「いらっしゃいませ♪あら、マッキーさん?」
「おい、ルイス……お前なぁ………」
これは、ヤバいですかね?
「でっ、誰が仕組んだ?」
ルイスは、トキヤとシャルムに視線を向ける。青ざめる、シャルムさんと逃げ出すトキヤさん。
「シャルムさんとトキヤさんです。」
「ほーん、そっか。てめぇ、待てトッキー!」
全力で、トキヤさんを追いかけるマッキーさん。
「あの、忙しいので外でお願いします。」
ルイスは、地声に戻して装備変更する。周りの残念な声は、聞こえなかった事にしますね。
髪の編み込みも、適当に手櫛でほどいて頭を振る。その仕草が、少しだけ雰囲気に似合わなくって視線を集めている。ルイスは、耳飾りを外してもとの髪型に戻す。そして、ため息を吐き出すと言う。
「さて、二人はマッキーさんに任せて仕事です!」
「おう、頑張ろう!」
グレンは、暢気に笑って言う。
「ランコルサンタさん、帰るお客様にプレゼントをお願い。僕は、2階の様子を見てくるね。トキヤさんが、抜けたので僕も入るのも良いかな。カリオストロ、1階は任せました。では、また後で。」
ルイスは、慌ただしく階段を上がって行く。
さて、現在ランキングは15位です。では、掲示板のみで報告されたあれを売りますかね。
そう、蘇生薬です。
ちなみに、蘇生薬は現在ですがあの双子が売り出しているようです。ちなみに、効果は蘇生して500回復するらしいのですが。売り上げは、高過ぎて売れてはいないようです。にしても、素材を集めるのが早すぎます。まだ、運営も課金素材として売ってはいないはずなのに……。いったい、どうやって?
メンバーが、オークションで素材を売った可能性が有りますね。これは、面倒な事になりそうです。
「シャルムさん、お願いが有るのですが。」
「あー、怖かった。ん?何よ?」
ルイスの、真剣な表情を見て座る。
「オークションって、売り出したプレイヤーの名簿を公開していますよね?同盟メンバーで、売り出しに参加した人をリストアップ出来ませんか?」
「例の、双子の蘇生薬がらみ?確かに、私達は苦労して素材を集めたのにおかしいわよね。しかも、☆10の素材の販売は禁止されてる。ギルドでしか、お金に変えちゃ駄目なはずよ。これは、物価とかプレイヤーのバランスを保つ規則だもの。」
すると、マッキーが会話が聞こえたのか来る。
「オークションで、出したなら目立つはず。でも、目立たなかった。となると、何かに隠して売ったかあるいは闇市に売り払ったかだよな。」
ルイスは、考える仕草をしてため息を吐き出す。
「………僕も、鬼になるしかないようですね。」
その言葉に、ゾッとしたマッキーとシャルム。
「待って、取り敢えずリストアップするから。」
「だな。俺も、調べてみる。」
トキヤは、無言で作業しながら苦笑している。
「別に、僕が鬼になった所で怖くないでしょう?」
「知ってるか?普段、怒らない奴ほど怒ると物凄く怖いんだぜ。取り敢えず、俺達に任せろルイス。」
ルイスは、頷くと蘇生薬を取りに降りて行った。
カラン♪ カラン♪
「只今より、先客20名様限定の蘇生薬を販売します。お一人様、1本しか販売しません。買われるお客様は、カリオストロから販売順番の書かれたカードを受け取ってください。カードを、無くされた方は無効になります。また、クリスマス限定の販売になりますので以後の蘇生薬の販売は有りません。」
「何でだよ!もっと、売れよ!」
お客様の、一人が騒いでいます。
「これだから、苦労の知らん奴は……」
マッキーが、そう言えば上級やベテラン達も頷く。
「なぁ、ここ以外でまともな蘇生薬を見たか?無いよな?それだけ、作るのが難しいんだよ。そんな、ポンポンと売れる代物じゃないんだ。分かるか?」
ルイスは、マッキーのその言葉を聞いて心から嬉しそうに笑う。ルイスも、クリスマスに合わせる為にログイン時間を伸ばして作業していた。
それだけ、大変だったのだ。こうして、その苦労を理解して貰えて本心から嬉しかったのだ。
「これなら、炎天の双子のを買うよ!」
「良いですよ。」
ルイスは、暢気な表情で素っ気なく言う。
「なっ!?お客が、減るんだぞ?」
「別に、売るために作っている訳では無いので。僕は、楽しいから作っているんです。商売なんて、二の次ですよ。お客が減る?おおいに結構!その分、僕の自由な時間が増えるので大歓迎ですよ!」
ルイスは、素の雰囲気で嘘偽りなく笑う。
すると、店内が静かになる。マッキーは、苦笑してからルイスを見て暢気に言う。
「本当に、生産馬鹿だな。確かに、自由な時間は増えるけど。でも、売ってくれないと困るんだが?」
「在庫が、有り余るのは勿体ないですから売りますよ?ですが、お客様が減っても問題は無いとだけ言いたかったんです。だから、脅しも無意味なんですよ。」
ルイスは、暢気に笑うが笑えない。
「それに、お店を閉めるなんて一言も言ってませんよ?あくまで、仮にお客様が減っても大丈夫ですって話をしただけです。それと、脅したお客様を出禁設定しました。それでは、さようなら。」
マッキーは、安心したようにため息を吐き出す。
「お前は、紛らわしいんだよ!」
「わざとです。脅しに、屈しませんよアピールをしただけです。わお……、もう完売ですか?」
さて、ランキングは……7位?ベスト10入りです!
「さて、イベントを頑張りますよ!」
こうして、トラブルも有りながらも2位になりました。うむ、惜しかったですね。まぁ、良いです。
「では、戦闘イベント参戦です!」
『おう!』
NPCメンバーには、奪われたサンタのプレゼントを取り返すイベントを。僕達は、レイドのブラックサンタを討伐しました。鈍足や呪いを使い、範囲攻撃をしてくるのが厄介でした。ギリギリ、勝てましたけど。もう、相手はしたく無いですね。
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