第13話 動く、創立者炎天組
ふーむ、厄介事の予感がするね。なるべく、危険は回避したいんだけど。まぁ、頑張るしかないね。
という訳で、5人組と初心者2人を引き連れやって参りました。初心者ダンジョン!
「えっと、ルイスさんよろしくお願いします。」
「あの、俺は薬屋さんのファンなんです!」
初心者の神官さんは、オドオドと落ち着きの無い様子で僕にペコリと頭を下げる。初心者剣士さんは、目を輝かせて僕を見ている………が不安を隠しきれていないです。まだまだ、未熟者だね。
僕は、【地形把握】・【敵索】・【暗視】・【直感】・【看破】・【危機感知】・【暗視】を発動させてマップを確認する。すると、ダンジョンの地図が立体的に浮かび上がる。地形や敵の位置そして罠の位置などの情報も……です。そして、敵は2つのマーカーで示されます。魔物なら、赤いマーカー。人ならば、青いマーカー。ちなみに、味方は緑で本人は白で表示されます。本当に、便利ですよね。
ちなみに、初心者ダンジョンだから全て見えただけです。この合わせ技、難易度の高いダンジョンでは全てを把握出来ないんですよ。魔方陣に、邪魔されてしまって。まぁ、効果はプレイヤーの実力に左右されるのですが。そこは、仕方がないですよね。
さて、現在時点の現在地マーカー………
緑が5人で青が2人………。
立体マップには、赤いマーカー190体で青いマーカーが54人ですね。おそらく、PKかな?
僕は、小さくため息を吐き出す。そして、リルとソルを抱えて2匹に呟くようにお願いをする。
「ソル・リル、2人を見張っててくれる?」
すると、甘えモードだった2匹の瞳が真剣になる。だが、甘えてくる。もふもふ……、もっとしていたいですが。PK掃除は、先達者である僕の役目。
2匹を降ろして、僕は7人に声をかけます。
「では、30分後に開始するので消耗品の確認や装備の耐久値を確認してください。おや、異常回復ポーションが有りませんね。神官2人には、集中回復をさせるので必要ですよ。最低でも、解毒薬は必要です。急いで、買ってきてください。」
ごめんね、嫌な予感がしてたから敢えて異常回復ポーションの事は教えずに伏せてたんだ。さて、街中では戦闘は出来ないので彼らが狙われる事は無いはずです。僕は、PK掃除でも始めましょうか。
ちなみに、万が一の為に2匹には7人と行動して貰ってます。後で、存分に遊んであげなくては。
さて、初心者ダンジョンですが懐かしいレベルで入りましたね。マップは、昔から変わらずですか。さて、そろそろ来る頃かな?来ましたね………。
「こんにちは、ここは初心者のダンジョンのはずですが。何故、レベルの高いプレイヤーがこんなに居るんでしょうか?もしや、イベントですか?」
「お前には、関係ないだろ?」
ふむ、では揺さぶりをかけましょうか。
「PKですか。」
すると、数人がピクッと反応する。
「この仕事、降りてくれる人はいませんか?降りたら1人5000コインでどうですか?」
すると、数人手を上げる。
勿論、βプレイヤー達だ。彼らは、今から僕が何をするか理解している。何せ、PKの間では僕の事をPKキラーと呼ぶからだ。僕は、お金を渡そうとして断られる。ん?何ででしょう?
「もともと、乗り気じゃ無かったんだよ……。初心者を、PKして痛めつけるだなんてさ。でも、炎天神楽からの依頼だし断れなくってさ。でも、元炎天四柱の生産頭……鬼才の名匠殿が現れたんだ。辞退してもさ、奴等も文句は絶対に言えんだろ。」
「その通り名、恥ずかしいのでやめてください!」
僕は、思わずムスッとして言う。
「それで、今はロールプレーはしないんだ?」
「あれは、トキヤさんにリーダー命令だって言われてロールしてただけです。炎天の、元リーダーですが。いったい、何処に居るんでしょうね?」
青年は、分からないとジェスチャーして去った。他のメンバーも、お金は要らないとぞろぞろ帰り人数は30人になりました!わーい、予想外に減りましたぁー。よし、では消えて貰いましょうか。
錬金術には、人形で戦わせるスキルが有ります。下から、ゴーレム・ドール・ホムンクルスですね。今回は、ゴーレムを使います。中級ゴーレムなら、3体あれば全滅できるはず。まず、魔物の核を加工した核魔石に錬金術で土を合成させます。そして、その核魔石を地面に落とし詠唱します。普通・・・は……
「さて、やりますか……」
僕の場合は、核魔石に土ではなく聖砂を合成させます。その状態の物を、いつも持ち歩いてますし。そして、マジックアイテムの錬金筆で核に文字を書きます。そして、試験管の聖水の中に入れて壁に投げます。すると、壁の中から出てくるゴーレム。
ちなみに、聖結界で敵は閉じ込めたので余裕で作る事が出来ました。うん、聖結界は便利です。
「さて、後は宜しくね?」
ゴーレムは、聖結界をすり抜けてPKを倒す。プレイヤーは、逃げようとするが聖結界に閉じ込められているのでゴーレムに次々と倒されます。
放置すれば、そのうち全滅するでしょう。ダンジョンや、洞窟は僕の得意フィールドですから。
さて、まだ戻っては来ていませんね。
「お、お待たせしました………。」
「じゃあ、まずは神官のテンノ君と剣士のライン君が行って来てください。どうぞ。」
僕は、暢気な雰囲気で言う。
「そんな!普通は、最低でも4人でするダンジョンですよ!貴方は、僕達を殺すつもりですか!」
その声に、周りの冒険者達は視線を向ける。
「まさか、出来ない事を僕が言うと思いますか?君達、2つジョブを持ってるから大丈夫ですよ。」
すると、青ざめる初心者の2人。
「おや、その程度の隠蔽で見破られないと思ったんですか?だとすれば、舐められたものですね。」
ルイスは、笑顔を消して冷たく言う。すると、周りの冒険者達は興味深い視線に変わる。
「そ、それは………でも、それでも無理です。」
「中に、PKが待機しているからてすか?」
ルイスは、満面な笑みで2人を見る。すると、更に顔色が悪くなる2人。僕は、思わず笑って言う。
「もう、PKは掃除済みですよ。君達が、ポーションを買ってきている間に全滅させました。」
すると、7人だけでなく周りのプレイヤーも驚く。
「そんな、失敗しちゃった……」
「どうせ、僕の保護下の初心者を殺せば、炎天神楽に入れてあげるとでも言われたのでしょう?」
すると、2人は小さく頷く。
「知ってましたか?炎天神楽は、PKを許しません。なので、PKやPKに加担した人を仲間にはしないんですよ。絶対に……。残念でしたね、騙されて良いように使われて捨てられる運命でしょう。」
「何で、貴方がそんな事を知っているんですか!」
すると、ルイスは炎天神楽のメンバーだった時のギルド服を身に纏う。絶句する、周りのプレイヤー。
「何故って、僕が元炎天神楽のメンバーだからですよ。まぁ、昔の事ですけどね。」
そう言うと、元の装備に戻してから笑う。
ちなみに、創設者の1人でもあります。とは、言えませんね。勿論、炎天神楽の四柱とは創設者達の事です。そして、それぞれの得意分野な頭になった感じです。僕は、生産が得意なので生産頭でした。
「さて、では5人組は行ってらっしゃい。」
「えっと、PKは居ないんだよな?」
僕は、暢気に頷いて手を振る。
そして、一時間後に5人組は五体満足で帰って来ました。おめでとうございます!
「さて、帰りましょうか。」
「あの、助けてください!」
ルイスは、冷たい視線を2人に向ける。
「それは、マッキーさんに言ってください。」
「残念だが、うちに裏切り者は要らない。」
マッキーは、冷たい表情である。
「おや、来ていたんですか?」
「おう。何か、済まないルイス。」
ルイスは、暢気に頷いて『気にするな』のジェスチャー。マッキーは、深いため息を吐き出す。
「さて、どうしてくれましょうか……炎天の奴ら。」
僕が、低い声音で氷点下の雰囲気を纏えば、寒気に動けなくなるプレイヤー達。
「おー、久しぶりだな。その、ロールプレイ。」
なお、マッキーさんはテンションMAXなもよう。
「そんなの、簡単じゃん!潰そうぜ!」
「「……………。」」
その声に、無言で振り向けば青年が笑顔で座っていた。僕は、深いため息を吐き出す。この人こそ、あの炎天の四柱の1人にしてリーダーのトキヤさん。
「ルイス、手を貸してくれね?」
「フレンドと、イベントの約束が有るのですが。」
ルイスは、遠回しに決行は何時だと聞いている。
「大丈夫、イベント後の予定だ。」
「ふむ、面子は揃ってますか?」
すると、満面の笑顔なトキヤさん。
「愚問でしたね。」
「レンジも、居るからな。残念なのは、お前の兄貴がゲームしてない事だな。爆裂なら、絶対に嬉々として参戦するだろうに……。まぁ、何にせよお前が参戦すれば炎天創立者の三柱が揃う事になる。」
トキヤさんは、堂々とどうする?という視線を僕に向けてくる。思わず、笑みを浮かべてしまう。周りのプレイヤーは、僕が創立者メンバーだと知り驚愕している。それは、身内達もである。
「良いですよ。派手に、吹き飛ばしましょう。」
「良いね。じゃあ、ルイスの店に来るから。」
ルイスは、楽しそうに頷いてから言う。
「了解です。」
「まっちゃん、参戦しない?」
「とっきー、するする♪」
ちなみに、マッキーさんとトキヤさんは幼なじみで仲が良いんです。いやー、イベント以上に楽しみですねぇ~♪そうだ、グレンも誘ってみましょうか?通り名が、ばれてしまいますが………そこはね?
さて、グレンは大丈夫でしょうか?
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俺は、ルイス様に頼まれてグレンさんを護衛している。グレンさんを、襲おうとするプレイヤーを先回りして暗殺したりかなり辛いが全力で頑張る。
「なぁ、キリア……次は暗殺は無理そうだ。」
「だな。じゃあ、行くぞ……」
「了解。」
俺達は、全力で細道を走り抜ける。さぁ、囲まれたグレンさんに加勢しなければ。
「あれ、キリアさん?」
「加勢する……。貴方も、暗殺スキルはあると聞いている。本当なら、俺達とは組みやすいはずだ。」
キリアは、冷静にグレンを一瞥して言う。
「まぁ、サブは暗殺者だからな。と言うか、もう暗殺者のジョブに変えてあるし。よろしくな!」
よし、全滅完了……。
「取り敢えず、宿まで送ろう………。」
「あー、まだ宿を取ってなくて。野宿かな?」
すると、キリアはため息を吐き出す。そして、笛で鳥を呼び出し手紙を送る。取り敢えず、ルイスのお店〔breeze〕に戻る事にした。
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おや、あれはキリアさんの伝書鳥パコですね。ええっと、ふむふむ……。今日は、グレンはお泊まり決定ですね。勿論、5人組もです。
「あ、ルイス。」
「はい?」
「俺をさ、雇ってくんない?」
トキヤさん、貴方は何を言っているんですか?
「トキヤさん、クランは創らないんですか?」
「おう、創らなねぇ。だって、リーダー面倒だし。それに、お前のお店は広いし住みやすそう。店員ランクも、引っ掛からないし大丈夫だろ?」
もう一度、言わせてください。トキヤさん、貴方はナニを言っているんデスカ?
「あ、なら俺も俺も♪」
レンジさんが、いつの間にか立っていて言う。
「レンジさん、何処からわいて来ました?」
僕は、いつもの決まり文句を言ってみる。
「人を、ゴキ○リみたいな扱いすんな!」
すると、当たり前のように乗ってくる。
「別に、ゴキ○リなんて言って無いですよ?」
「あのな、弟分の癖に生意気だぞ!」
そう言いながらも、僕の頭をナテナデしてくる。もう、昔ほど子供では無いのに……。恥ずかしさで、顔が赤いのはトキヤさんやマッキーさんにはバレバレですね。どうにか、振りほどきたいですが無理!
「いや~、我が弟分は相変わらず可愛いなぁ~。」
「本当に、羨ましいぜ。」
そして、トキヤさんは真顔になって言う。
「レンジ、そろそろ止めてやれ。ルイスが、可愛い事になってる。色んな意味で、危険だし目の毒………この場合は薬か?とにかく、ヤバいからストップ。えっと、ルイス?だ、大丈夫なのか?」
僕は、解放されてため息を吐き出すと呟く。
「うぅ……、この歳で頭ナデナデは恥ずかし過ぎますよ。恥ずかし過ぎますぅ………。」
「すまんな。」
僕は、深呼吸を数回して落ち着く。そしてから、いつもの雰囲気でムスッとする。
「取り敢えず、雇う件は保留です。潰しには、参戦予定なので編成枠は空けといてくださいね。一応、フレンドも誘う予定ですが余計な事は………ね?」
「「「了解!」」」
よし、解散ですよ。解散!
「あ、お帰りルイス。」
「グレン、大丈夫でしたか?」
グレンは、頷いている。そして、思ったのですが。
「何故、グレンはうちのエプロンを着けているんですか?いえ、バロンさんは分かりますよ?」
「暇だったから、お店のお手伝いしてたんだ。」
暇だったなら、狩りにでも行けば良かったのに。まぁ、泊めて貰うからお返しでしょうか?まったく、気にしなくても良いのに………。まぁ、いっか……。
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それから、時間が経過してイベント一週間前。
「ルイス、やっぱり一緒に戦って。」
「………仕方ないですね。では、イベント参加申請を出さなければ。そこは、グレンに任せます。」
ルイスは、苦笑して頷く。
トキヤは、そんなルイスを優しく見ている。トキヤは、勿論だがルイスのイベント嫌いの理由を知っている。だからβ時代、強制にはイベント参加させていなかった。でも、ルイスはフレンドの為に嫌いなイベントに挑もうとしている。これが、嬉しくないはずがない。これは、応援に行こうと決めた。
「イベント当日は、お店は閉店します。外は、お祭り騒ぎで多くのお店が屋台を出したりしてます。たまには、キリアさん達も息抜きに遊んでも良いでしょ?それに、イベント一週間前はトラブルが多くなります。勿論、当日は更にです。だから、お店は閉店します。一週間前の今日から忙しくなります。何とか、乗りきってゆっくりしましょう。」
全員が頷いて、素早く行動に移す。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
さて、イベント当日……頑張りますかね。
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