第258話 拠点になるわけですからね
王国全土に鉄道を敷いていくと同時に、各地の領民たちを次々と村人として登録していった。
膨大な村ポイントが消費されるので、その対価みたいなものだね。
もちろんちゃんと領主に許可を取った上での村人登録である。
「村人登録……?」
「そんなギフト、聞いたことないのだが……」
「我が領地は村ではないぞ?」
領主たちの多くは怪訝そうな顔をしていけれど、一応、王様が事前に連絡をしてくれていたこともあって、拒否する領主はいなかった。
カイオン、タリスターといった伝統ある公爵家が先んじて協力してくれていたしね。
そうして、ついに村人の数が100万人を突破してしまう。
〈パンパカパーン! おめでとうございます! 村人の数が1000000人を超えましたので、村レベルが12になりました〉
〈レベルアップボーナスとして、10000000村ポイントを獲得しました〉
〈作成できる施設が追加されました〉
〈村面積が増加しました〉
〈スキル「コピー&ペースト」を習得しました〉
レベルは12となり、新たな施設が作成リストに加わった。
霊園(300) 高台(500) 住宅地(1000) 遊園地(1500) 大聖堂(2000)
〈霊園:明るくて綺麗な墓地。墓石の風化防止。盗掘防止。アンデッド化防止。安らかな眠りを保証します〉
〈高台:高くて見晴らしのいい台地〉
〈住宅地:複数の住宅が集まった区域。家屋の大きさ指定可能。犯罪、騒音防止〉
〈大聖堂:信仰の中心となる聖なる施設。ここで真摯に祈りを捧げれば、神々の加護や恩恵を受けられるかも?〉
〈遊園地:様々なアトラクションが設けられたレジャー施設。日常の嫌なことは忘れて遊びまくろう!〉
「お墓かー。人も増えてきたし、そろそろ考えないとって思ってたんだ」
比較的若い世代の村人が多いせいか、老人ホームや病院のお陰か、今のところ村では滅多に死者が出ない。
そのためこれまでは村の一画に、簡易的な墓地を設けているだけだった。
ちなみにこの世界では土葬が一般的らしく、時々、墓地から死体がアンデッドと化して這い出してくることがあるという。
そうしたことも、この霊園であれば防止してくれるようだ。
「せっかくだから、高台に作った方がいいかも? ていうか、高台って施設……?」
地形であってもはや施設ではないと思う。
まぁでも人工的に作られた高台もあるか。
住宅地というのは、どうやら家屋を複数まとめて作成できるらしい。
家屋を一棟ずつ作成していくより効率がよく、しかも低ポイントで済むようだ。
「大聖堂か……ミリアが大きな教会を欲しがってはいたけど……」
ミリアが主張するには、教会の礼拝に通う人が増えてきていて、今のサイズじゃ手狭になってしまっているらしい。
そのため何度かに分けて礼拝を行っているという。
サイズを大きくするだけなら施設カスタマイズでも可能だけど、教会の上位版と思われる大聖堂には、教会にはなかった特殊な効果もあるようだ。
僕はまず村の東側を大きく拡張して、そこに高台を作り出した。
そして村全体を見下ろすことが可能な高台の頂上に、霊園を設ける。
暗い印象になりがちな墓地だけれど、ギフトで作り出した霊園は、よく整備された庭園や公園のような雰囲気だった。
高台の上にあるため明るくて眺望もよく、きっとこれなら亡くなった人たちも気持ちよく眠れるだろう。
「あとは頂上まで道路を敷いて、展望台的に物見塔も置いて、と」
ギフトで作り出した道路なら、斜面であっても軽々と上り下りが可能だ。
お年寄りでも簡単にお墓参りできると思う。
そんな高台を背にするように、僕は大聖堂を建設する。
「うわっ、めちゃくちゃ立派……っ!」
現れたのは、宮殿に匹敵する高さの尖塔を持つ、巨大で豪華な建築物だった。
「これは……っ! ルーク様! もしかして新しい教会ですか!?」
「う、うん。思ったより大きいのができちゃった。さすがにこれで神官がミリア一人だと……」
「ご心配には及びません。すでにアレイスラをはじめとする王国各地の教会から、この村に神官やシスターを派遣していただくことになっていますから」
「え? そうなの? 何人くらい来てくれるの?」
「ざっと百人ほどです」
ひゃ、百人!?
「(何せここが我が国の信仰の拠点になるわけですからね……ふふふ……)」
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