第211話 私も出場しよう

「ええと、会場は訓練場を元に作ればいいかな」


〈訓練場:武技や魔法などの訓練のための施設。成長速度アップ、怪我防止機能〉


 怪我防止機能とかもあるしね。


 施設カスタマイズを使って、元のサイズの何倍にも大きくしていく。

 円形の方が観客が見やすいはずなので、形状も変えた。


「うん、こんな感じかな」


 できあがったのはまさしくコロッセウムだ。


 丸いフィールドを中心に、段々になった観客席。

 この村の全住民に加え、観光客も観戦できるよう、五万人は収容できるサイズにしておいた。


「後は選手の控室に……医務室もないと……それにスタッフたちの事務室でしょ……それから……さすがにすべての試合をここで行うわけにはいかないし、予選用の会場も欲しいかな……」


 予選会場は地下に作ることにした。

 どれだけの出場希望者が出るか分からないけど、とりあえず三つくらいあればいいかな。






「ルーク! 聞いたわよ! 武闘会とかいうの、やるんだってね!」

「そうだよ。セレンは出るの?」

「もちろんよ! 楽しそうだし!」


 セレンは出場する気まんまんのようだ。


 彼女の見た目と強さは、きっと観客に喜ばれるだろうと思っていたので、とてもありがたい。

 まぁ性格を考えたら、出るって言うだろうとは思ってたけど。


「ありがとう。セレンが出てくれたら武闘会も盛り上がるよ」

「ふふん! 絶対に優勝してやるんだから!」


 間違いなくセレンは優勝候補の一人だろう。


「姉上が出場するならぼくも出ます」

「セリウスくん」

「そして今度こそ姉上に勝ってみせる!」


 セリウスくんも出場してくれるようだ。


「返り討ちにしてあげるわ!」

「いつまでも姉上に負け続けるとは思わないでください」


 バチバチと火花を散らし合う二人。

 二人の姉弟対決はなかなかの見物だね。


 ……一応トーナメント方式の予定だから、二人がぶつかるとは限らないけれど。


「ふむ、楽しそうなイベントだな。私も出場しよう」

「フィリアさんも出てくれるの?」

「武器は弓でも構わないのだろう?」

「うん。魔法を使うのもオッケーだよ」


 フィリアさんもセレンやセリウスと同じダブルギフトだし、優勝候補の一人かもしれない。


「ふ、フィリアさんも……」

「セリウス殿。貴殿とはなかなか良い戦いができそうだな」

「~~~~っ!」


 相変わらず顔を真っ赤にして、硬直してしまうセリウスくん。

 ……もしフィリアさんとぶつかったら、何もできずに終わりそう。


「村長、もちろん俺も参加しますよ」

「俺も出るぜ!」

「俺も俺も!」


 さらに、最初期からこの村を支えてくれている『剣技』のバルラットさんやペルンさん、『槍技』のランドくんなんかも出場してくれるみたいだ。


「俺も楽しそうだから出てみるかな」

「おれも……出てもいい?」


『巨人の腕力』のゴアテさんや『剣聖技』のノエルくんも乗り気だった。

 でも二人とも、どうやって戦うんだろう?


「はっ、面白そうじゃねぇかよ」

「どれだけできるかは分からないが、武人として不参加というわけにはいくまい」

「おいらも出てみたいべ」


 元盗賊の親玉ドリアル、ダントさんに仕えていた元兵士バザラさん、ドワーフのバンバさんなんかも出てくれるようだった。


「俺たち冒険者が参加してもいいのか?」

「魔法使いでも構わないの? 面白そうね! 絶対出るわ!」

「拙者の修行の成果を見せるときか」

「……狩人には……厳しい……」


 と出場を表明してくれたのはアレクさんたち冒険者パーティだ。

 戦闘が不得意なディルさんは出なさそうだけど。


「あらん! とぉっても楽しそうなイベントじゃないの~っ!」

「ゴリちゃんも出てくれるの?」

「そうねぇ! アタシの強くて可愛いところ、たっくさんの人に見てもらるんでしょう?」

「う、うん……本戦に出れば、多分たくさんの人が見てくれると思うよ」

「素敵っ! 優勝なんかしちゃったら、きっとみんなアタシにぞっこんねぇ~~♡」


 ゴリちゃんも参加するようだ。

 ……もしかしたら一番の優勝候補かもしれない。

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