第163話 影武者を生成しますか
そんなこんなで、僕は新たにドルツ領とフレンコ領を村の一部に組み入れることとなった。
もちろん統治するのはこれまで通り、二人の子爵だ。
僕は北郡のときと同様、施設を作ったり道路を敷いたりするだけである。
〈ドルツ領が村に加わりました〉
〈フレンコ領が村に加わりました〉
どちらも領主が許可をしてくれたためか、領地強奪を使わなくても自動的に領地が村の一部になったようだ。
北郡では領地強奪を使う必要があったのは、代官であるミシェルさんの許可だけではダメだったからだろう。
そして二つの領地の住民たちも村人になった。
〈ドルツ領民47392人が村人になりました〉
〈フレンコ領民83901人が村人になりました〉
「多っ! さすが領地丸ごと……ドルツ領民だけでも、今までの倍になるくらいなのに……」
一気に10万人以上も村人が増えてしまった。
それまでせいぜい4万人くらいだったので、いきなり四倍に膨れ上がった形だ。
〈パンパカパーン! おめでとうございます! 村人の数が100000人を超えましたので、村レベルが10になりました〉
〈レベルアップボーナスとして、1000000村ポイントを獲得しました〉
〈作成できる施設が追加されました〉
〈村面積が増加しました〉
〈スキル「影武者生成」を習得しました〉
レベルが上がったみたいだ。
作れる施設も新しく追加されている。
保育所(100) 老人ホーム(200) 劇場(300) タワーマンション(500) 病院(1000)
〈保育所:乳幼児を保育するための施設。安心安全。知育効果アップ〉
〈老人ホーム:高齢者の養老のための施設。ボケ防止。健康維持〉
〈劇場:演劇やコンサートなどを観客に披露するための施設。村人の芸術的感性アップ〉
〈タワーマンション:高層マンション。セキュリティ万全。地下駐車場あり〉
〈病院:入院設備のある診療施設。患者の苦痛軽減。自然治癒力アップ。医療行為の効果アップ〉
「村は今、空前の出産ブームが到来しているところだし、保育所はありがたいかも。病院も入院設備があるのが助かるよね」
そして新たなスキルも習得していた。
「影武者生成……?」
影武者って、あの影武者だよね?
僕の分身を作り出すことができるってことかな……。
〈100000ポイントを消費し、影武者を生成できます。影武者を生成しますか? ▼はい いいえ〉
どうやら十万ポイントも必要らしい。
それだけ高性能の影武者なのだろうか。
とはいえ、今ならそんなに痛いポイントではない。
僕は早速、試しに生成してみることにした。
〈影武者を生成します〉
次の瞬間、僕の影がうねうねと蠢きだしたと思うと、立体的な形状となり始め、やがて人型へ。
気が付くとそこには僕と瓜二つな姿をした存在が出現していた。
「ええと……これが僕の影武者?」
「そうだよ」
「うわっ、返事をした!」
「返事をするよ」
どうやらこの影武者、喋ることができるらしい。
「初めまして。僕はルークだよ」
「うーん、だけど、ちょっと機械っぽい話し方だね」
まるでAIみたい。
「僕は色んな経験を通して学習していくよ。だから色々教えて」
学習機能があるという。
本当にAIだ。
「遠隔操作もできるよ」
「遠隔操作? 声で指示するってこと?」
「意識を僕に移すんだ」
やってみると、影武者の視点から本体の僕を見ることができるようになった。
身体を動かすこともできるし、話すこともできる。
「これはすごいね」
僕が影武者に乗り移っていると、影武者の方は喋ることができないようだ。
さらに影武者の状態でギフトを使うことができた。
また、遠く離れた場所にいる影武者へと意識を移すことも可能だということが分かった。
「これを応用すれば、普段は遠くに影武者を置いておいて、必要なときだけ遠隔操作することができるってことか。ドルツやフレンコには影武者を行かせようかな」
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