11月10日

「本あげるよ」

 と文庫を渡された。

「え、ありがとう、でもなんで?」

「おんなじの2冊買っちゃって」

「そういうのあるよねえ」

 カバーをとってみると、即痩せる××ダイエット、とある。

「ふーん」

 思わずわたしは唸った。

「別にあんたが太ってるって言いたいわけじゃないけど」

「2冊あるからだよね」

「そうそう」

 目の前の彼女はほっそりとしている。

「まだ痩せたいの」

「当たり前じゃん」

 そうなのかあ、とわたしは黙った。わたしは自分の体型、そんなにきにしてないんだけどな。

 店を出て気付いた。

「ごはんどうする?」

「家帰って食べるわ」

 痩せてる子は違うなあ、なんて思いながら、わたしたちは別れた。

 ハンバーガーを頬張りながら、わたしはもらった文庫本を読んだ。

 ハンバーガーなんてもってのほからしい。

「知らんし」

 わたしは自分の体型を気に入っているのだ。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日はいい友の日〜」


友達は数でなく質。

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