7月26日
妹の意地の悪さは筋金入りだ。いつか絶対に妹とは離れて暮らそう、と心に決めている。
「あんたのこと、ママは裏で散々悪口言っているよ」
ほらきた、とわたしは思った。深夜の嫌味。それは彼女の大好物だ。
「そう」
わたしは答えた。相手にするのもばからしかった。あんたのことも、さんざん言ってるけどね、といってやりたかったけれど、よした。そんなことを言おうものなら、何を言ったのかと問い詰め、寝ている母を起こしかねない。
なんでこんなふうになってしまったのか。
わたしは思う。
昔は仲が良かったというのに。いま妹は仕事をしていない。一度就職で失敗し、それからずっとテレビを観ている。老いた母に芸能界の話をさも事情通のように話している。母は「へえ、そうなの」などと話にのっかかる。母は妹が大好きなのだ。
わたしの帰りを待つことはないが、妹がどこか出かけると、帰ってくるまでまるで忠犬のようにドアをあけて待っているのだ。
そんななくせに、母は妹の愚痴をわたしに言う。
わたしたちは、ある意味で完成している。こんなふうに自滅してくのではないか、と思う。
わたしはいつか、この家を出よう、と思っている。もしかして、いまなのかもしれない、と思い、でもまだ、いる。
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「今日はなにー?」
「今日は幽霊の日〜」
東山にある幽霊飴、美味しいですよね。鬼太郎のモデル? らしいよ。
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