　車椅子を押すのも慣れた。慣れてしまうと母の病院の付き添いも簡単だ。まああんまり慣れたくもなかったけれど。

「川の方、桜が綺麗らしいから行ってみようか」

　病院に向かう前に遠回りして桜の咲く場所まで車椅子を押した。

「綺麗ねえ」

　母が喜んでいたからよかった。

　写真を撮影した。

　あまり写真を撮られるのが好きでない母が珍しく笑顔だった。

　撮った写真を見せたら、母が「なんだか変な顔だ」といいだした。それは素材の問題だろうが、と思ったがそうかなあ、と答えた。

「やっぱり消して」

　わかった、と言って操作しながら、お気に入り登録をしておいた。

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー？」

「今日はバングラディッシュ独立記念日〜」

『ベンガルの虎』という芝居を観たいと思っているが機会に恵まれていない。バングラディッシュが舞台ではなさそうである。

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