3月6日

 そこは神の住む島と呼ばれている。人は暮らしていない。

 その島にフェリーに乗ってやってきたとき、ちょっと面食らった。降りてすぐのところに土産物屋もある。そもそもフェリーはほぼ満員状態だった。

「観光地なんだねえ」

 わたしは同行しているボーイフレンドに言った。

「そりゃそうだろう」

 ボーイフレンドのほうはいつもと変わりない。ここに行きたいといったのはわたしだ。彼はまったく興味をもたなかった。

 神社のほうに進むと、祈りを捧げる列ができていた。

 金運に効果あり、とネットにあった。

「多少俗っぽいくらいのほうが安心だよ」

 わたしが不満そうだったからだろう、ボーイフレンドは慰めるように言った。

「そうだね、それにせっかくきたんだから、金運だってあげたいよ」

 そもそも、わたしはなんでこの島にきたかったのか、並んでいるうちにわからなくなっていた。

 そんな希薄な理由より、金運アップの方が、正しいに決まっている。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日は弟の日〜」


弟はいないので勝手に架空の弟をこしらえてみます。なんか、どう扱っていいのかわかりません。

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