2月29日(うるうどし)

 四年に一度だけ会う友達がいる。

 いつも同じ日だ。

 それは彼の誕生日である。

 やっと年をとれたよ、と彼はいう。

 長いこと待った、と。

 いつも同じことをいい、わたしはいまでは、そう言うのを待ち侘びている。

 いまいくつになったの?

 えーと、八歳かな。

 そう。

 なんでこの人は、本当の誕生日、わたしと会うんだろう、と思う。

 でも、やってくるんだから仕方がない。

 あなた、幽霊? とわたしは訊ねる。

 そんなもんかな、長く生きすぎた気がする。

「本当は八歳なのに?」

「そう」

 わたしは笑う。

 ほんとうに幽霊だったらいいのに、と思う。わたしはその日、かならずケーキを買ってくる。ショートケーキをふたつ。翌日起きても、一つは残っている。

 四年後には九歳か。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

「今日はなにー?」

「今日はうるう年〜」

四年に一度だけ会えるなんて、ロマンティックですよね……。七夕以上に会えないし! うるう年ちゃん。

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