2月29日(うるうどし)
四年に一度だけ会う友達がいる。
いつも同じ日だ。
それは彼の誕生日である。
やっと年をとれたよ、と彼はいう。
長いこと待った、と。
いつも同じことをいい、わたしはいまでは、そう言うのを待ち侘びている。
いまいくつになったの?
えーと、八歳かな。
そう。
なんでこの人は、本当の誕生日、わたしと会うんだろう、と思う。
でも、やってくるんだから仕方がない。
あなた、幽霊? とわたしは訊ねる。
そんなもんかな、長く生きすぎた気がする。
「本当は八歳なのに?」
「そう」
わたしは笑う。
ほんとうに幽霊だったらいいのに、と思う。わたしはその日、かならずケーキを買ってくる。ショートケーキをふたつ。翌日起きても、一つは残っている。
四年後には九歳か。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
「今日はなにー?」
「今日はうるう年〜」
四年に一度だけ会えるなんて、ロマンティックですよね……。七夕以上に会えないし! うるう年ちゃん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます