第2話 姫宮さんは隣の席です

 姫宮さんと僕は今、となり同士の席に座っている。

 入学して1ヶ月経ち、初めての席替えが行われ、僕は見事姫宮さんの隣をゲットしたのだ!!運命かもしれない!!

 といえば聞こえはいいが、ほんとは姫宮さんが怖くて、おどおどしていた陰キャチックな男子と代わってもらったのだ。ありがとう山本くん!!


 てなわけで僕の隣には姫宮さんがいる。朝のあいさつもしやすいってわけだし、これからどんどん話せるってわけだ!!最高ですやんか!!


 いやぁ〜、にしても姫宮さん、めちゃくちゃ綺麗だなぁ〜。ストレートの黒髪もめちゃくちゃ綺麗だし、キリッとしたきつそうな目もかわいいし、凛としてて誰も話しかけるなよオーラがもう最高だよね〜!


「その下衆な視線、不快ですね。その目を今すぐ潰してしまおうかしら。」


 おっと、姫宮さんの美に惹きつけられて、見つめすぎてしまったようだ。


「ごめんね!でも姫宮さんが綺麗でかわいすぎてちょっと惹きつけられちゃってた!だから姫宮さんの美しさにも責任があると思います!」


「綺麗とかそういうことをいきなり大声で言わないでください!あなたバカなのですか?いやバカでしたね。愚問でした。」


「ごめんごめん!僕って思ったことすぐに口に出しちゃうらしくて!だから綺麗って思ったのはほんとだよ!」


「本当になんなのですかあなたは。思ったことを言ってしまうって、あなたは小学生、いや、3歳児未満ですね。ハイハイからやり直しては?」


「え?僕、2歳の頃にはもう立ててたよ!」


「そういう話じゃありません。とりあえずもう喋らないでください!!」


 ひ、姫宮さんの後ろに般若が見える!!しょうがない、今回の会話はここまでかな。


「じゃあ昼休みにご飯食べながらお話しようね!!」


「しません。」


「ちぇ〜、つれないなぁ〜!」


 僕的にだが、結構距離を詰めれてる気がするぞこれ!!

 でも貴志焦るな!!ステイクールだ!ここで焦ってはダメだ。ちょっとずつ攻めて攻めて、姫宮さんの氷の壁を破って付き合うんだ!!がんばるぞー!!!!



 てなわけで迎えた昼休み。姫宮さんをもう一度誘ってみたのだが、余裕で無視されてどこかに行ってしまったので、結局いつもどおり親友のイケメンと食べることになってしまった。


「よっ太一!今日も冷姫に振られたのか?」


 うざいくらいに爽やかに登場してきたこいつは、僕の親友の菊池涼真。身長は190cmくらいあるし、顔は俳優の竹内涼真っぽいし、バレー部のエースだし、めちゃくちゃかわいい彼女いるしで完璧な男だ。

 小学生の頃からずっと一緒だからこいつの完璧イケメンぶりにも慣れたがね。

 いいやつだから、嫉妬心すら湧かないし。


「正直もうすぐだと思うんだけどなぁ〜!まあがんばるしかないね!絶対いけると思うし!!」


「お前は相変わらず意味がわからないほどポジティブバカだなぁ。よく冷姫とあんだけ話せるよ。俺だったら男としての自信なくなっちゃうよ。」


「それはいいね!姫宮さんにはお前の自信を粉々に粉砕骨折させてほしいよ!」


「それだけはやめてくれよ貴志!想像しただけで鳥肌立ってきた。あ〜、早く咲良に癒されたい。」


 咲良とは、涼真の彼女で、フルネームは、朝宮咲良。姫宮さんと並ぶほどの美少女と言われているが、性格は真逆で、明るく元気で、茶髪ショートカットの女の子である。涼真と咲良さんは有名な美男美女カップルである。

 僕も咲良ちゃんとは中学からの友達で、涼真の彼女だからよく喋る関係である。


「なんで咲良ちゃんと一緒にご飯食べないんだよ。」


「だって向こうにも女友達付き合いがあるじゃんか。俺も貴志の今日の振られ話を聞かなきゃならないしな!」


「くそが!!絶対惚気話に変えてやる!!いや、姫宮さんと付き合って一緒にきゃっきゃっと昼ごはん食べてやるんだからな!!お前なんてお役御免だ!!」


「ハッハッハッ、がんばれ〜。」


「信じてないな!この野郎!!見てろよ〜!!!!!」


 僕が姫宮さんをあきらめ悪くアプローチし続けているのは学校では有名だが、このように親友ですらも僕と姫宮さんが付き合えるなんて1ミリも思ってないのだ!一応応援はしてくれているが。


 付き合って全校生徒を驚愕させてやる!!僕はやるぞーーーー!!!!

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