05.13.二人の距離
中間試験の結果を受けて、皆んなで一緒に勉強しようと約束していたのだが……
「いつの間にそのような関係になったのです?」
「別に、何も変わってないよ? ねえ、
「えっ、うん」
確か、つい先日までは違ったはずだ。確かに隣り合って座ることはあったけど、肩が触れ合うような距離では無かった。
「少し近すぎませんか? お二人とも」
「そうかなあ。う~ん、何かあったとすれば台風の夜かな〜、ね~、
「あれは……そんなんじゃ……」
「強風で家が揺れて、電気も消えちゃってさあ。凄くドキドキしたんだ〜」
「それは吊橋効果というものなのでは?」
「そうなの?
「うん。たぶん……そう」
「まあ、そういう事でいいけど」
はあ。こんな事になるなら一緒に勉強を、なんて言わなければ良かった。
それに、
永遠に変わらない愛を約束する
あの時、店員さんはそう言っていた。そんなネックレスをお互いに贈り合うということは……
『僕用じゃなくて、
か……。実在するんだろうか、そんな女の子。
『只のボディーガード』
判っていたことだけど、こうして現実を突きつけられると堪えるな、やっぱり。ぼくのネックレスは着けてくれているんだろうか。会長のは……流石に無理だと思うけど……
本人たちはイチャイチャしているつもりも無いのかもしれない。でも、このちょっとした変化に気付いた生徒も多く、既に噂になっていた。学年主席と次席、しかも義姉弟でミス
当然、面白く思わない者も居るわけで……
「マイ・プリンセス。これはいったいどういうことだい?」
「うげっ、出たなウザ男っ」
うげって、警告鳴ってたし、指摘もしてあげてたんだけどな。
「変な噂が流れているから来てみれば……、いや、僕の気を惹こうという涙ぐましい努力なのかな? そんな必要は無いんだよ、マイ・プリンセス」
「何で此処に居ることが判っちゃったんだろう。ひょっとしてまた情報が漏れてるのかも。もう1回システムのチェックしないとかな」
まあ、システムとかじゃなくて、学校中の噂になってるからね。他にもほら、噂のカップルを一目見ようと生徒が集まってるじゃないか……
「さあ、そんな演技は終いにして、僕と行こうじゃないか」
「行くわけないじゃん。頼むから消えてくれないかな、この世界から」
「照れなくてもいいんだって、マイ・プリンセス」
相変わらず理解し難い人だな、この人。
「
ここにもいたか、理解し難い人間が。
「また君か。
「
「消えるのは君の方じゃないのかい? なあ、
「だな、ちょっと面貸しな」
まあ、助ける義理もないし、こっちは放っておいてもいいだろう。
「で、君が噂の彼氏君かい? 驚いたね、まるで女の子だ。守れるのかい、その華奢な体で。なあ、
「うんうん、綺麗な足だよね」
この男、
「馬鹿な事言ってないで向こうに連れて行って少し話してきたらどうだい?」
「えっ、でも……おいら男には興味ねえから……」
「なあ、
「あ、ああ、勿論。じゃあ、ちょっと行こうか」
バシッ
「いてててて、何すんだ、お前……」
「
「可愛いな……」
「何?」
「お前でいいや。ちょっと向こうで話そうよー」
「断る」
こっちも任せておいて大丈夫そうだな。
「あー、
「あいよっ」
「させるかっ」
「おいおい、お前はデブの相手をするんじゃねえのかよ、デブの」
「デブっていうなーっ」
「るせえ、デブ」
「デブじゃねえー」
いや、どう見ても……
しかし仲間割れとはな。
「まあいい。お前ら二人でその女と彼氏君の相手をしているといい」
「で、ぼくの相手はお前なのか?」
「なんだ、君も居たのかい。関係ない奴は引っ込んでてくれないかい」
「相変わらずくだらないことをしているようね、
「
「いいえ、あるわよ」
いつの間にか現れて、
「ダメじゃない、ちゃんと着けてないからこういうことになるのよ」
カチッ
「えっ……」
「見ての通り、この娘は私の所有物なの。許可なく話しかけないでもらえるかしら、
「……」
会長の奇行に流石の
「行くわよ、
「行くって、何これ、外れない」
首輪を外そうとする
「この鍵がないと外れないわよ?」
「待って下さい、
カチッ
「貴方にも付けてあげるわ。これでお揃いね」
そう言って
会長に手を引かれながらも、時々見つめ合い、笑みを溢す二人。とても幸せそうだ。
この場は治まったからよかった……のかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます