03.10.その時が来るまで
「
「そうなんだよ、
最近、
『思い知らせてやる。どっちが優秀なのか』
別にそんな安い挑発に乗ったわけじゃない。
まあ、八つ当たりだったのは認めるよ。実際、僕を拘束したのは
でもそれも最初だけで、事情を話したら、『だったらここでそのコーディングとやらをするといいわ』って言ってくれて、
あっ、その事怒ってる?
それにしてもだよ、スカート捲りとか頭おかしいんじゃないの?
いや、スカート捲りで済んだだけで良かったんだと思う。
『愛してるぞ、
ううう、思い出したくもない。気持ち悪い。
「大丈夫かい?
「うん、思い出したら吐き気がしてきただけ」
「暫く彼の行動を注視しておくことにするよ」
「ありがとう
「話?」
「ほら、2体裏で倒れちゃった時。結局あのまま何も聞いてないんだけどさ」
「それは……、今は良いんだ。あの時の事は忘れて欲しい」
忘れちゃったのかな?
「そっか。じゃあ、思い出したら何時でも言ってね」
「あ、ああ。そうさせてもらうよ」
忘れちゃうぐらいだから大した話でも無いんだろうな。だったら態々呼び出さなくても良かったのに。
「
「えっ、何?」
「どうかした?」
「別に、何でも無い……」
そしたら
「じゃあ、私はそろそろ帰るから」
「待って、僕も一緒に帰るから」
「会長はもういいいの?」
「うん。解決したからね。何故か
◇◇◇
「久しぶりだね、こうして二人で帰るの」
「うん。ごめん、僕がむきになってた所為で」
途中で
「ねえ、手……繋ごっか」
「いいの?」
「うん。繋ぎたいの」
差し出された手をそっと握る。電車の中にはうちの高校の生徒もいて、いつもは嫌がってたのに。今日は
「そうじゃなくて……、こう……」
「ドキドキするね」
「でもこうしてると安心する。
「(うん。
「
「どうするって?」
「結婚……とか」
結婚って……、だいぶ先の話しだと思うんだけど、まあ、恋愛の延長だと思えば……
「僕はしない……かな」
「えっ?」
「だって、男と結婚するとか想像したくも無いもん。かといって、女の子とってのもねぇ。こんな体なんだし、その人だって元々男だったかもしれないなんて考えたら……無理かな」
「そっか……。
「じゃあ、ずっと一緒に居られるねっ! 兄妹なんだもん」
「あ……、そうだね。ずっと一緒に居られるんだ……」
このまま戻らなければずっと一緒に居られる。それは嬉しい。嬉しいんだけど……
「でも、僕は元に戻りたい。戻って……」
それに、僕だけ戻ってもね……
そのときは兄弟として一緒にいればいいんだけどさ。
「戻って……どうするの?」
「内緒っ」
「そこまで言って、ずるいよ。気になるじゃない」
本人目の前に言えるわけ無いじゃん。それに、ちゃんと戻ってから言いたいんだから。
「そういう
「私は……、戻りたいなんて言ってないじゃない」
「戻りたくないんだ」
「そんなことないけど……、じゃなくて、
「内緒だってば」
その時が来るまでね。
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