第124話 最強の覚悟
「確かにこの魔物は今までのものとは完全に別物だ。けれど今後はこの魔物が最低ラインとなるのだろうね」
今のところ他の魔物は出現していない。
だからこそ、ロウレイは判断に困っていた。
「もし本当にこのレベルの魔物が大量発生するのなら、隊長以下の者達では相手取るのは厳しい。そして何よりも、魔物が一体だけであったその意味」
いつものように大量発生するだけならばいつもよりも大変なだけで問題はない。
問題はあるが、それ以上の問題が存在している可能性に頭を悩ませる。
「もしも今日、これ以上魔物が出現せず、明日一体や二体ではなくいつも通りの数出現したのなら、今日のこの魔物は警告だったと考えてもいいかもしれない」
魔物を操る何者かの存在こそ、いま最もロウレイが気に掛けていることであった。
「成程、それならば出現の瞬間を私が監視しておこう。もしも背後に何者かがいるようなら、そいつを倒すだけで終わらせられる」
永遠に出現し続ける魔物、永遠でない者では護り続けることなど出来ない。
しかしそれが永遠でないのなら、もしもその先に魔物とは違う大元となる敵がいるのなら、それを倒せばその先はもはや人と人との話。
騎士団の戦いは終わる。
護るべきものは護られる。
「しかしあれだけの魔物を出現させるような相手、仮にいたとしても勝てるかどうか」
「勝てるとも」
確信をもってベルはその言葉を口にした。
「私は最強だから」
アマデウス、ギルティ、私は君達とは違う。
君達のように後を託すなんて真似は出来ない。
私は、他の誰にも託さず、私だけで全てを終わらせる。
その決意故ベルは最強を語る。
二人とは違う、
「…………一人で背負い過ぎないでくれよ?」
「君にだけは言われたくないね」
一瞬ぴり付いた雰囲気を解くようにロウレイは微笑む。
「仲間を頼ってくれとそれだけだよ」
ベルの肩を軽く叩いてロウレイは街へと戻って行った。
「…………それを私がしたくない事くらい、君はよく知っているだろうに」
「ベル…………」
「大丈夫。君達は必ず護る。君達が心配しないで済むほどに、余裕を以て護ってみせる」
「…………好きにしろ。お前が俺を頼ろうと頼らずとも、俺は勝手にお前を助ける」
ブルーノは鼻を鳴らして大股で街へと帰っていく。
「あ、その死体の処理はしておけよ。誰かが見たら怖がる」
振り返ってそう口にしたかと思えば、すぐに顔を戻して街へと帰っていった。
「…………ギルティ、君の仲間と私の仲間は少し違うらしい。なかなかどうして、素直に護られてくれないんだろうか」
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