最終話 同じ塾で隣の席の彼女が最高に可愛いッ!!
「……で、なんでみんな校門前で集合してんの?」
「そりゃあ写真撮るためだろ」
卒業式と最後のHRが終わり、俺は同じクラスじゃない、そして違う学校に行く友達達とたくさん話した後、一緒に帰る約束をしていたユウマ達を探した。
すると、ユウマ達が校門前にいるのが窓から見えたから急いで来たんだけど、いつの間にか鈴と村上さん、近藤さんと阿部さんがいた。
「女性陣もまだ残ってたんだ」
「うん。 違う高校に行く子達と会うのはこれが最後かもしれないから、たくさんお喋りしてたの」
「あたしも光と同じ」
「わたしは後輩たちに会ってきたよ」
「私も〜」
「そういや俺たち、後輩に会ってねぇな。 今から会いに行くか?」
「もう残ってるやつ少ないだろ」
「それに、春休みに送別会してくれるんだから、その時会えばいいでしょ」
俺たちは校門の近くで固まって話をする。
周りを見れば友達同士で写真を撮ったり、馬鹿騒ぎをしている男子達が目に入った。
「うちらもさ、写真撮ろうよ! 塾組ってことでさ!」
「おぉーそれいいな!」
阿部さんの提案にみんなが乗る。 同じ塾でも特にこの8人はよく話したし、一緒に行動したな。
気づいたら塾だけじゃなくて、修学旅行とかも同じ班だったし……まさか、ここまで仲良くなれるなんて中2の春ごろは思ってなかったな。
「でも、どこで写真撮るんだ?」
「校門前にいるんだから校門でいいでしょ」
「でも、人いっぱいいるよ?」
チアキがそう言うので首を動かすと、学校名が書かれている銘板の前にはたくさんの人集りができていた。
まぁ、写真撮るならセオリーの1つだよなあそこ。
「別に夜のお別れ会まで時間あるし、並んで待っても全然いいんじゃない?」
「琴の意見に賛成だよ。 でも、誰かこの後予定があるならしょうがないと思うけど……みんなはどう?」
鈴の問いかけに、みんな予定はないと首を振った。
ちなみに、お別れ会はクラスメイト達とバイキングの予定だ。
「写真は誰に撮ってもらう?」
「それは私達に任せなさい!!」
「うぉい!?」
俺の質問に答えのは、いつの前にか後ろにいた母さんだった。
母さんの近くには父さんがいて、茜さんや亮太さんもいた。
他にも周りに大人が結構いて、みんなの話している様子を見ると、それぞれの両親だということが分かる。
…………凄いな。 いつの間に知り合ったんだ。
「じゃあ、母さん達が撮ってあげるから、子ども達は列に並びなさい」
俺たちは言われるがままに列に並ぶ。
そして、俺たちの番になった。
「はいはい。 みんな笑ってー!」
母さんの掛け声と共にカメラを構えだす大人達。
なんだか一斉に同じ動きをされると怖いな。
「ユウマー! あんたもっとシャキッとしなさい!」
「わかったよ!」
「光! ほらピースピース!」
「イェーイ!!」
「……凛。 笑って」
「……笑ってるのよ!!」
「ツバサ! メガネ曇ってない?」
「いや、曇ってないが」
「チアキ〜口が引き攣ってるぞー!」
「え、嘘!?」
「琴美〜! 可愛いわよ〜!」
「絶対可愛く撮ってね〜」
「鈴ー! ここで陸くんに抱きついてもいいぞー!」
「父さんうっさい!」
「陸ー! ここでガバッと鈴ちゃんを自分の方に引き込んじゃえ!」
「母さんは黙ってて!!」
みんな親に好き放題言われているが、楽しそうに笑っている。
そんな俺たちを見て、大人達も嬉しそうだ。
「じゃあ写真撮るわよー! みんな準備いい?」
俺は写真を撮る前に隣にいる鈴の方を見た。
中2の春に塾で出会い、夏にはお互い名前で呼ぶようになった。
秋には精神的に弱っているところを救ってもらい、冬には恋人関係になった。
3年生になってからは受験で大変だったけど、絆が更に深まった。
これから先、どんな未来が待っているかは分からない。
でも、俺は鈴と一緒に進んでいきたいと心の底から思った。
「鈴……これからもよろしくね」
「うん! よろしくね!!」
俺は鈴の輝く笑顔を見て、こう思ったのだった。
———————同じ塾で隣の席の彼女が最高に可愛いッ!!!!!
完
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