第127話 受験当日②

「あたしたちはこのまま帰るけど、春名君と松田さんはこれからどうするの?」


「俺達は少しブラブラしてから帰るよ」


「頭使って疲れたから少し休憩したいし、この辺のことも知っておきたいからね」


「そうか。 なら、また学校でな」


「おう。 お前らも気を付けて帰れよ」


「おーう」


 俺達は無事試験を終わらせて□□高校を出る。


 とりあえず試験で疲れたな。


 慣れない場所で慣れないことをするのは精神的に疲れる。


 滑り止めの高校の入試もこの後一応控えているから、もう一度同じようなことを味合わないといけないのは少し面倒臭いと思ってしまった。


 でも、とりあえず試験の手応えは悪くなかったし、第1志望の入試が終わったことで少し精神的に楽になったところはあるな。


 後は合格発表を待つだけだ。


 合格発表は滑り止めの高校の入試前に発表される。


 出来ればそこで合格して、滑り止めの高校受験しなくて済むようにしたいな。


 早く受験から開放されたい。


「あ"ぁ〜づがれだぁ〜」


 鈴はその場でおもいっきり手を上にあげて身体を伸ばす。


 そんな鈴を何人かの生徒達がチラッと横目で見ていた。


 どうやら鈴の可愛さに目がいったみたいだ。


 どうだ。 俺の彼女可愛いだろ? 伸びするだけで愛らしさがでるんだぜ?


「?? どうしたの陸くん? なんだかドヤ顔してるけど……」


「いや、なんでもないよ」


 いけないいけない。 試験が終わって少し変なテンションになっているのかもしれないな、俺。


「これからどの辺ブラブラする?」


「とりあえず駅の周辺に行ってみようよ。 そうしたら、高校生になった時に色々勝手がわかって便利じゃない?」


「言われてみたらそうだね。 なら、駅の方に行ってみるか」


「はいよー!!」


 俺達は歩いて駅の方に向かい、その周辺を開拓する。


 すると、あんがい色々な店があることが分かった。


「コンビニが駅周辺に3つある。 しかも、一つ一つ店舗は違うね」


「カフェとか本屋さんもあるし、定食屋さんもあるよ! 部活終わりにふらっと立ち寄れるところが多いね!」


「強いて言うならファーストフード店があれば良かったなって個人的には思うんだけど、鈴はどう?」


「確かに言われてみればそうかも。 ファーストフード店のお手軽価格は学生の味方だからね。 あったら確かに良かったなぁとは思うよ」


「ま、在学中に出来ることを願っとこうかな」


「そうだね〜」


 俺達はそんなことを話しながらブラブラと歩く。


 そして、近くのコンビニで飲み物を買って雑談をした後、俺達は電車に乗ったのだった。


 帰り道に塾に寄って、俺達は塾長と北山先生に今日の手応えを報告する。


 2人に労いの言葉をかけられて、少し肩の荷が下りたような気がした。


 そして、俺は鈴を家まで送り、そのまま自分の家へと帰る。


 帰ると試験を頑張ったご褒美として、晩ご飯は好物のすき焼きが待っていた。


 俺はそれをお腹が一杯になるまで食べた後、風呂に入って倒れるように眠り、気づいたら次の日の朝になっていたのだった。

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