第121話 受験勉強のストレスが溜まったので、デートで発散します。 ②

「あんがい体育館って空いてるもんなんだね。 急だったからバトミントンできないかと思ったよ」


「俺も誘っておいてなんだけど、今日は無理かもって途中で思っちゃった」


「なにそれ〜」


 俺たちは勉強を一旦やめて、町内にある体育館に来た。


 自転車を止めた時に結構車とか自転車が置いてあったから、バトミントンできないかもしれないなって思ったけど、どうやらあの車たちは体育館の隣にある剣道場を利用しているお客さんたちのものみたいだ。


 外から少し中の様子が見えたので覗いてみると、保護者や剣道の先生、小学校高学年ぐらいの子ども達がたくさんいた。


 雰囲気は少しピリピリしていて、激しく打ち合いをしている。


 小学生とはいえ、剣道をしている子ども達の大きな声は迫力があった。


 俺達は少しの間剣道の稽古を見る。


 普段学校で剣道部の大きな声や打ち合う音が聞こえることはあったけど、こんなにまじまじと稽古を見たのは初めてだった。


 俺達は普段見ることができない光景を少しの間見た後、本来の目的を思い出して体育館の中へと入る。


 久しぶりにきた体育館だったけど、中は昔とは変わっていなかった。


 俺達は懐かしさを感じながら体育館の受付へと向かい、バトミントンをすることができるか聞いてみた。


 すると、まだ自由に使うことができる面があると言われたので、俺たちは料金を払い、スポーツドリンクを買って体育館へと入った。


 中に入るとバレボールをパァンと打つ音と、シューズがキュキュッ!と鳴る音が聞こえた。


 そちらの方に顔を向けてみると、ママさんバレーを楽しそうにしている奥様方がたくさんいた。


 みんなハツラツとした笑みを浮かべている。


 大人になっても、みんなで楽しみながらスポーツができるのは素敵だなと思った。


 俺達はそんな奥様方を見ながら空いてるスペースへと向かい、荷物を端の方に置く。


 そして、バトミントンをする為にストレッチを始めたのだった。


「陸くんってバトミントンしたことあるんだっけ?」


 鈴が屈伸しながら聞いてくる。


「あんまりないなぁ。 片手で数えられるぐらいしかしたことないと思う。 とりあえず、中学生になってからは初めてやるよ」


 前やったのは小学校高学年ぐらいだった気がする。


 俺、基本的に球技苦手でやってこなかったんだよなぁ。


「じゃあ、まずは軽くラリーやってみて、できそうだったら試合してみる?」


「それでいこう」


「ストレッチとかしたらさっそくやろっか」


「うん。 分かった。 あ、足伸ばす時背中押してあげよっか?」


「えぇ〜そう言って、陸くん変なところ触るつもりじゃない?」


 鈴がニヤニヤ笑いながら聞いてくる。 これは完全にからかってるな。


「触らないよ。 ぜひ触ってほしいって言うなら、触らせてもらいますけどぉ?」


「あははっ! もうっ! そんなところ触るのやめてよぉ〜!!」


「まだ触ってないのに誤解を生むようなこと言わないでよ!!」


 俺達はそんな感じで戯れながらストレッチをし、身体を動かす準備をしたのだった。


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