第82話 同じ塾で隣の席の女の子の誕生日に、デートをします。 ⑤

「いやーやばかった……あれはやばかった」


「心臓飛び出るかと思っちゃったよ……」


「でも、面白かったね。 鈴のセンサーはしっかりしてたってことだね」


「そこは嬉しいかな」


 俺達はお化け屋敷を出て、近くのベンチで休憩していた。


 鈴は身体全体の力を抜いてダラーンとしている。


 かくいう俺も肘置きに肘を置いて、上腕二頭筋の辺りに頭を置いて休憩していた。


 いやー……謎解きで頭も使ったけど、それ以上に精神的に疲れた。


 本当に怖かったなぁ……。


「あれヤバくない? 電子端末の電源が急に落ちたと思ったら、赤い文字が画面に浮かび上がってきたやつ」


「あれヤバかった! あれだけでもヤバいのに、その後壁からゾンビが出てきて追っかけてくるんだよ!? 陸くんが引っ張ってくれなかったら、私絶対あそこで腰抜かして動けなくなってたよ!!」


「でも、楽しかったなぁ! あんなに大きな声出して走ったのなんて久しぶりだよ!」


 鈴はハハッと力なく笑う。


 それを見て俺もアハハッと笑った。


「楽しかったね。 でも、もう1回あそこ行けって言われたら行く?」


「無理無理! 行ってよかったと思ったし、楽しかっけど、それとこれとでは話が違うよ!」


「もう1回行ってない?」


 俺は悪戯っぽく笑いながら聞く。


 すると、鈴はプクーと頬っぺたを膨らませながらそっぽを向いた。


 いや〜反応が可愛いなぁ。 その頬っぺたを指でツンツンしてみたいな。


「まぁ、休憩は終わりにして、次のアトラクションへと向かおっか」


「そうしよっか」


 俺たちはベンチから立ち上がって、次のアトラクションへと向かう。


 すると、途中でフィッシュ&チップスを売っている屋台を見つけた。


 フィッシュ&チップスか……食べたことないんだよな。


 それにさっき大きな声出して走ったから、少しお腹減ってるんだよな。


「鈴、フィッシュ&チップス1つ買って、2人で分け合わない?」


「いいよ〜丁度お腹も空いてたしね!」


 俺達はフィッシュ&チップスを買って、ベンチに座って食べ始めた。


 うん! 塩が効いていて美味しい! 衣もサクサク、ポテトはホクホクで手が止まらなかった。


「初めて食べたけど美味しいね!」


「美味しいね! この塩味がいい感じだよ」


 俺達はあっという間に食べ終わってしまった。


 もう1個買えばよかったかな……?


 俺はそんなことを思いながら、鈴と一緒に次のアトラクションへと向かうのだった。

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