第81話 同じ塾で隣の席の女の子の誕生日に、デートをします。 ④
「あはは! 陸くん凄い顔してるよ! すっごく必死な顔!」
「鈴だって人のこと言えないじゃん!」
「えーうそぉ……本当だ!?」
俺達はアトラクションを終え、ゲートを通って建物の外へと出た。
ゲートを通る際、係員のお兄さんから写真いりますか?って聞かれたから1枚買ってみたけど、良い写真でびっくりしている。
「うわー……私って、必死な時ってこんな顔してるんだ……」
「他にも何枚か写真あったけど、他のでは鈴が音にびっくりして耳を両手で抑えてたり、動きが止まってる写真があったよ」
「えー私それ見てないなぁ。 私が見たのは陸くんがバンザイしてるのと、上に向かって撃っている写真だったよ」
「え、逆に俺それ見てないんだけど」
「こういうのって、どうやって写真撮ってるんだろうね」
「気づかないうちに撮られてるよね」
俺達は途中、飲み物を買って飲みながら次のアトラクションへと向かった。
次は謎解きとお化け屋敷が合併されているアトラクションだ。
「おぉ……迫力あるなぁ」
近くまで来て思う。
え、普通に怖いんだけど。 クオリティー高くない?
「マンションみたいな大きな建物に蔦が絡まっていて、建物の色も黒とかでダークな感じだね……扉とかも年代を感じるし、この黄緑の灯りが恐怖心を掻き立てるね……」
「そういう割には楽しそうだね」
「うん! 怖いのは特別好きってわけじゃないんだけど、建物を見た時にビビッと私のセンサーに反応したんだよね! ここは絶対に面白いって」
「じゃあ、鈴のセンサーがしっかりしているのかこれから判明されるわけだ」
「ふふーん♪ 絶対にここは面白いよ!」
俺達は意気揚々と列に並んだ。
冬にお化け屋敷に入って心も身体も冷やしたくないからか、さっきのアトラクションよりもお客さんは少なく、早く中に入ることができた。
俺達は受付のお姉さんにお金を払い、説明を聞く。
そして、説明が終わると電子端末と懐中電灯を渡された。
懐中電灯はなんとなく使い道分かるけど、電子端末は何に使うんだ? そもそもここは電波届くのか?
「この電子端末に謎解きが送られてくる時があります。 また、謎解きの解答はそちらに書いてください。 では、行ってらっしゃいませ……」
俺達は受付のお姉さんに見送られて中へと入る。
中は暗くて寒く、壁を触るとなにかが出てくるような不気味さを醸し出していた。
「うわぁ……中に入るとまた怖いなぁ……ねぇ、鈴?」
「う、うん。 予想以上かも……」
さっきまでの意気揚々とした様子はすっかり影を潜め、少し怖がっている鈴。
特別好きってわけではないってさっき言ってたから、いざ入ってみると怖くなったのかな?
……俺もあんまりこういうの得意じゃないけど、少しでも鈴の不安が減ればいいな。
俺はそんな思いで鈴の手をギュッと握る。
鈴の手は少し震えていて、冷たかった。
「り、陸くん!?」
「俺もあんまり得意じゃないけど、2人ならきっと大丈夫だよ」
「う、うん」
「一緒に行こう」
「……うん!」
俺の言葉を聞いた鈴はギュッと手に力を入れて、握り返してくれた。
そして、俺達は手を繋ぎながらお化け屋敷を攻略していったのだった。
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