第34話 同じ塾で隣の席の女の子とプールに来ました。 ①

 ミンミンと鳴く大量のセミの声とカンカン照りの太陽。


 俺の目の前にはたくさんの色々なプールが見え、老若男女問わず楽しそうに遊んでいる人達がたくさんいた。


 今日は松田さんと一緒にプールで遊ぶ日。


 今は着替えている松田さんを待っているところだ。


「結局少しの間筋肉痛になっただけだったな……」


 俺は自分の腹筋を触る。


 無理だと思いながらもシックスパックを目指したけど、やっぱりできなかったな。


 でも、筋トレのおかげかご飯食べる量は増えたんだよな。


「ごめんー! おまたせー!」


 俺がそんなくだらないことを思っていると、松田さんの声が聞こえた。


 松田さんの水着姿が見れる!


 俺ははやる気持ちを抑えながらゆっくりと振り返った。


 そこにいたのは髪を結って小さなポニーテールにしている、いつもとは違う可愛さを存分に出している松田さんだった。


 しかし、水着の上からラッシュガードを着ていた。


 ……いや、これはこれでありだな。


「?? どうしたの春名くん?」


「いや、ちゃんと日焼け対策してるんだなーと思ってさ」


「それはするよぉ。 日焼けは女の子の敵だからね! 春名君は日焼け対策してないの?」


「してないよ。 日焼け止めクリームも塗ってない」


「え、それはヤバいんじゃない? 私ので良かったら貸すよ?」


「いや、気持ちはありがたいけど、俺は日焼け止めクリームは塗らないって決めてるんだ」


「え、なんで?」


「しっかり焼けていい感じにしようと思ってるんだ」


 夏に外に出て遊び、しっかり日焼けをする。


 これは夏にしかできないことだし、日焼けすることで『こいつ……! 夏を存分に楽しんでやがる!?』とアピールすることができるんだ。


 まぁ、アピールしたところでなにか得するか?って聞かれたら、なんとも言えないんだけどね。


「アハハッ! なにそれ~! 面白い~」


 俺の言ったことを聞いた松田さんは少し惚けた後、お腹を抱えて笑った。


 えぇ……そこまで笑うとは思わなかったよ。


「ふふっ……日焼けで大変なことになっても私知らないからね~」


「そこはもう覚悟してる」


「覚悟してるの!?」


「そうだよ。 でも、日焼けしてピリピリするのは嫌だけど、日焼けした肌が少し捲れてきて、それを剝がすのってなんか楽しくない?」


「あ、それ分かるよ! 小学生の頃よくやってたな~やり始めると止まらないんだよねぇ」


「あれ一日では全部捲れないよね」


「結構かかるよね~」


 俺達はそんなくだらない話をしながら歩き始める。


 とりあえずこのプール施設の案内板を探して、まずはどこのプールゾーンから行くか決めるか。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る