第24話 師匠と義妹の魔眼特訓
あれから俺たちは、基礎的な特訓や座学は一緒に受け、月奈が魔眼の特訓をしている時や夜中などに俺は魔道具作製をするようになっていた。
(月奈視点)
「じゃあここからは、『魔眼』の訓練に移ろうか」
基礎的な訓練が終わりエスタリアさんは次の訓練に移ろうとします。
「あ、なら俺は工房に行ってきます。月奈、頑張れよ」
「はい!兄さんも魔道具の作製頑張ってください」
そして兄さんは家の裏にある、エスタリアさんの工房に向かいます。
「じゃあ、始めようか」
そう言うとエスタリアさんの眼が金色に光ります。
「あのエスタリアさん。ずっと聞きたかったんですけど……」
「なにかな?」
「いえ、エスタリアさんの『魔眼』は金色なのに、私のは黄色に光るのでなにか違いがあるのかと」
私は魔眼を発動させ、眼が黄色く光ります。
「ああ、それは月奈の『魔眼』がまだ
「『魔眼』が覚醒めてない……どういうことですか?」
「『魔眼』は持ち主によって、進化するものなんだ。最初は魔力が上がったり、魔力を感じたりする共通の能力を持つこの状態の『魔眼』は黄色に光る」
(共通の能力、魔力の上昇、実力試しで砂埃の中でも魔力を感じることができた。これが今の私の状態)
「そして、何らかのきっかけによって共通の能力に加えて個別の『能力』が『魔眼』に備わる。『能力』がある『魔眼』は色が変わるんだ」
「と、言うことはエスタリアさんは『能力』があるんですね?」
「うん。私の魔眼は『看破の魔眼』。人のステータスを見たり武器の素材などが分かる。月奈の『鑑定』に似ている物だね。まぁ『鑑定』の上位互換だと思って」
エスタリアさんは話し終えると、「さて―」と言いながら
「始めようか」
「はい!」
その魔眼の迫力に押されながら私は精一杯の返事と共に、魔法を放ちました。
―――――――――――――――――――
「はぁ、はぁ。もう、魔力が、すっからかん、です」
エスタリアさんの魔眼特訓で私は疲れはて、その場に座り込んでしまいました。
「う〜ん。月奈はかなり魔眼の扱いが上手くなったね。でも、」
エスタリアさんは腕を組こちらを見てきます。
「えっと、何でしょうか?」
「いや、月奈は魔法の扱いは良いんだが。こう、気持ちというか、心というか。月奈は人を生物を傷つけることに抵抗があるよね」
「ええ、まぁ。というか抵抗の全く無い人なんていないと思いますけど……」
「いや、そうなんだけど。月奈は特に強いというか、優しいんだよ。せめて冷夜ほどとは言わないがもう少し、その抵抗をどうにかしようか」
エスタリアさんはそう言うと家の中に向かっていきます。
そんな中私は、
(生物を傷つける抵抗を減らす。兄さんほど?どいうことなんでしょう?)
先ほどのエスタリアさんの言葉が気になっていました。
しばらくすると、エプロンを着たエスタリアさんが戻って来ました。
「よし、準備完了。月奈、前のブラックドラゴンだしてくれるかな?」
「はい。それはいいですけど。何ですか、それ?」
私はエスタリアさんが着ているエプロンを指します。
「なにって、エプロンだけど?」
「いえ、そのエプロンにしまっている、ナイフは何ですか?」
エスタリアさんはエプロンからナイフを出します。
「これはね、解体用のナイフだよ。あ、これ月奈の分ね、エプロンも」
「あ、はい。でも、何で解体ナイフなんか」
私はエプロンを身に着けます。
「それは、もちろん。解体するためだよ。ドラゴンをね」
エスタリアさんの不敵な笑みと共に、ドラゴンの解体が始まりました。
――――――――――――――――
「よし、これで終わりだ。お疲れ様」
エスタリアさんは血だらけのナイフをしまい、こちらに顔を向けます。
「はぁ、はぁ。おつかれ、さまです」
(まさか、一日に2回も疲れはてるとは……)
「月奈、疲れているところ悪いけど水、出してくれるかな?」
「あ、はい。『ウォーターボール』」
私は魔法により水球を出します。
「ありがとう。……どうかな月奈。少しは慣れたかな」
エスタリアさんは手を洗いながら聞いてきます。
「そうですね。どちらかと言うと料理の為に魚を切る、見たいな思いだったんですよね」
「そっか。だとすると後は実戦かな」
エスタリアさんは手を洗い終え、私は水球を消します。
「あの、聞きたかったんですけど。さっき言っていた、兄さんほどって言うのはどう言う事なんでしょうか?」
私が聞くとエスタリアさんは、一瞬キョトンとしましたが、すぐに「ああ〜。それか」と言います。
「冷夜は、あの子はね、生物を、人を傷つけることをためらわない子だよ。特に月奈、君を害しようとする者に、あの子は容赦しない。もしかすると人を殺すこともためらわないかも」
その言葉を聞き私は、不安な思いになります。
そんな私を見てエスタリアさんは、真剣な顔をします。
「あの、それって私が兄さんの重荷になっているのでしょうか?」
私が聞くとエスタリアさんは、意外といった顔をします。
「まさか、そんな言葉が出てくるのか。……その心配はないと思うよ。前に彼から君たちの昔話を聞いた限りね。それよりも、私は人を殺すかも、の方が気になると思ったんだけど」
なるほど。それがエスタリアさんが意外そうな顔をした理由でしたか。
「そのことなら、気にしていません。エスタリアさんも言った通り、兄さんが何かをするのは私のためです。だから私が兄さんを嫌うこと、嫌悪することは絶対にしません!」
私が言い切るとエスタリアさんは笑い出します。
「ははは。なるほど。そこまで行くとそれはもう、『愛』だね」
「あ、愛!?あの、それってどういう――」
「ははは。さて、どういうことだろうね?っと、私は冷夜の所に行ってくる、休んだ後でいいから食事の用意頼んでいいかな?」
「はい、分かりました。それで、愛っていうのは!?」
「それは、君が一番分かっていることだと思うよ」
それじゃあ後で、とエスタリアさんはブラックドラゴンの素材をいくつか持って、工房の方へ向かっていきました。
そして私は、
「愛ですか…」
私はエスタリアさんに言われた言葉忘れられませんでした。
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