第23話 義兄妹と魔法授業

 俺が『狂戦士バーサーカー』を使い暴走してから一晩たち、俺たちは修行を受けることになった。


「さて、まず二人には……」


 師匠は空を見上げながら考えるポーズを取る。


「よし。二人にはまず、魔法について教えよう」


「魔法ですか?」


 俺たちは首を傾げる。


「そう、魔法だ。見たところ二人は魔法の知識が薄いみたいだからね」


 師匠は、指先を振る。


「そもそも魔法というのは魔力とスキルを使って起こす現象だ。魔力というのは全ての生物、さらには大気の中にまで存在する物、これを魔素という。まぁ主に魔法で使うのは自分の魔力だ」


 師匠は手から透明な魔力を出す。


「魔力は主にこの透明な物。この透明な物に、スキルという色を付けて魔法を使う。『炎魔法』のスキルで色を付ければ炎の、『水魔法』のスキルで色を付ければ水の魔法を使える」


 師匠は透明な魔力から、炎を出現させる。


「ちなみに身体能力強化や魔力障壁は透明な魔力、スキルを使わずに使用できるので誰でも使えることから無属性魔法と呼ばれている。無属性魔法はスキルを使わない代わりに普通なら数年修行しなければ使えないのだが」


 師匠は俺たちを見る。


「二人は『魔力操作』のスキルがあるから、はじめから使える。良いスキルを持っているね。っと、魔法の話に戻ろう。魔法を使うには、いくつかの方法がある」


 1つ目は演唱。魔法を使うためにその魔法に関する言葉を発声し、魔法のイメージを固めて使う方法だ。これが一般的な魔法の使い方だ。


 2つ目は無演唱、イメージ。演唱をせずに頭の中でイメージを固めて魔法を使う方法だ。これは難易度が高いから使う者、というか使える者はほとんどいない。


「私は魔法名だけで、演唱はしてませんね」


「俺は魔法名すら、言うことは殆どないな」


「それについては、二人の魔法のイメージが、かなり強いものだからだろうね。魔法は使用者のイメージで変わるものだから。そして、3つ目は魔道具。これは前者2つとは違い、誰にでも使うことができる物だ。」


 師匠はどこから出したのか杖を持ちそこから水球を出す。


「私は『水魔法』のスキルを持っていないが、魔道具を使えばこのように魔法を使うことができる」


 俺と月奈は魔道具に目を釘付けにする。


「す、凄いですね」


「確かに凄い。けど、魔道具があるなら魔法スキルはいらないんじゃ?」


 俺の疑問に師匠は首を横に振る。


「いや、魔道具も万能じゃない。確かに魔道具は○○魔法のスキルが無くても魔法が使えるけど、すでに魔道具に付与されている魔法しか使えないし、付与できるのも、『水魔法』のスキルは付与できず、『アクアボール』『アクアカッター』などの特定のスキルしか付与できない」

 

「つまり魔道具は決められた魔法しか使うことが出来ない。と言うことですか」


「その通り。それに威力は使用者の魔力に影響するので誰にでも同じ威力が出せるわけでは無い。それににあまり強い魔法が付与された魔道具は無いんだ」


 その言葉に月奈が首を傾げる。


「それは、なぜなんですか?」


「月奈この杖を見てみて」


 師匠は月奈に杖を渡す。


「はい。『鑑定』」


 月奈は手に持つ杖を鑑定する。


「えっと、水魔石、魔耐石、水性木……。聞いたことのない素材がたくさんありますね」


 月奈は杖を師匠に返す。


「二人に実感は無いと思うけど、杖の素材はこの世界の人でも知らない人のほうが多いんだ。魔法を付与するにはそれに合った素材が必要でね、必然的に希少な素材を使うことになってしまうんだ」


 師匠は「さて」と、話を閉じる。


「ここまで色々と言ってきたけど、今後の予定としては、まず二人にはこの世界の基礎知識を学んでもらうのと全体的な能力の強化。そして月奈には『魔眼』の扱い方を教える」


「はい!お願いします!」


 月奈は嬉しいそうに言う。


「冷夜には、『狂戦士』の研究と、あとは……」 


 師匠は悩む素振りを見せる。

 それを見て俺は杖を見た時から考えていた事を提案する。


「あの、師匠。俺に魔道具の作り方を教えてください!」


 魔道具を作ることができれば、俺たちの戦力の強化につながる。

 何より、魔道具だこれは心をくすぐられる。


 そんなことを言うと師匠は笑い出す。


「ふ、ふははは。なるほど、男心と言う奴か。いいよ、教えよう。君なら面白い物を作ってくれるだろうからね」 


 こうして、俺たちの本格的な修行が始まった。




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