第66話 ちょっ!?何してんの!?
目が覚めると、俺はサリアの胸に顔を埋める様にして抱かれて寝ていた。
「あ、お目覚めになられましたか?」
俺よりも先にサリアは目覚めていた様で、一糸まとわぬ姿で朝日に照らされる彼女はいつも以上に綺麗に見えて、俺の目覚めをとても嬉しそうに微笑んでくれた。
それだけですぐに俺は元気になってしまい、密着しているサリアの身体に元気になってしまった事を知らせてしまう。
瞬時に頬を染めて俺から目を逸らし、恥じらうサリアがまた可愛らしくて、俺は目の前にあったサリアの突起を口に含む。
「あっ――――――」
すぐに俺はサリアの身体を抱き寄せ、それを口の中で弄ぶ。
甘い声を漏らしながら、サリアは俺を放そうとはしなかったので了承を得たと認識した俺はそのままサリアと何度目になるか分からないくらいに繋がった。
「ルシード、昨夜はお楽しみだったわね?」
朝食をとる為に訪れた家の食堂、そこで出会ったミューレさんに開口一番にそう言われた。
こりゃ昨日の晩に何があったか知ってるな。
「はい。サリアはとても優しくて、ついつい甘えすぎてしまいました」
俺は開き直る事にした。
きっとミューレさんだけじゃなくてマーサも知ってるんだろう。
俺には何も言わないけれど、サリアの姿を探してるみたいだし?
「ところで………………サリアはどうしたの?」
「立ち上がれないくらいに腰が痛むようだったので、僕のベッドにそのまま寝かせてきました」
俺の言葉に食堂の空気が凍り付いた気がした。
近くからは「あのルシード様の全てを受け入れるであろうサリア様が?」とか、「ルシード様の御世話を生き甲斐にしているサリア様が?」なんて声が聞こえてくる。
ミューレさんとマーサも驚いているようで、ミューレさんは珍しく口を開きっぱなしに、マーサはミューレさんの為にカップに注いでいた紅茶を溢れさせていた。
「い、一回二回じゃないの……………?」
「え?さっきまでずっとヤってましたけど?」
「まさか夜通し……………?」
「はははっ、そんなわけないですよ」
「そ、そうよね?幾ら何でもそんな――――――」
「サリアが気を失ってる間は何もしませんでしたよ?あぁ後は僕がサリアが起きるのを待ってる間に寝てしまって、さすがに夜通しではありませんでした」
「確かに夜通しではないけれどそれに近い状況じゃないの!サリアは無事なのよね!?」
「ですから、腰が痛くて動けないそうなのでベッドで休んでます」
「マーサ!!すぐにサリアを見に行って!!エドガは念のため治癒士を呼んでおいて頂戴!!」
「「承知しました!!」」
バタバタと慌ただしくも機敏に動くマーサとエドガに感心しながら、朝食を食べる。
それが終る頃にマーサが戻って来て、ミューレさんに報告していた。
「………………ルシード様に求められるのが嬉しくて受け入れ続けていた様です」
「…………治癒士は?」
「一応ただの腰痛として、エドガさんには手配してもらいました。それとサリアから伝言なのですが……………」
「………………そう。わかりました」
俺にはひそひそと話す二人の会話は聞こえなかったが、報告を終えたマーサが離れると、ミューレさんが真剣な表情をして、
「ルシード、しばらくサリアと寝る事を禁止します。反論はありますか?」
「特にありません」
サリアの様に優秀で替えの利かないようなメイドを一人、不用意に休ませてしまったのだからそう言われても仕方がない話だよな。
とはいえ今日は日曜日で、夕方には学校に戻るから一週間は会えないんだけど。
「アイリーンとミモザがまだ起きて来なくて本当に良かったわ………」
元々その二人が起きて居ないからミューレさんもそんな話題を振って来たんだろ?
サリアは結局その日に復活とはいかなかった。
見送りに来ない事をアイリーンとミモザは不思議がっていたが、大人たちが全力で話を逸らし続け、二人とは寮の前で別れた。
「おかえりなさい」
ロビーでファナル先生に出迎えられると、すんすんと鼻を鳴らしながら俺の周囲の匂いを嗅ぐ。
「どうかしたんですか?」
「いえ、何だかルシードくんから女性の匂いがしたような気がして――――――」
その発言に俺はちょっと引いた。
部屋の前に立って扉をノックする。
これまでの間に不用意に入ると高確率でシルヴィオのパンツを見る事を学んでいた。
さすがに俺も学習してるんだ、シルヴィオ=パンチラかパンモロなんて不名誉な思い出し方にならないようにしないとな。
そしてどうやらシルヴィオは今部屋には居ないようで返事がない。
俺は安心して鍵を開けて中に入ると、
「シルヴィオー?居ないのかー?」
念には念を入れて声を掛ける。
当然返事はない、俺はそのまま中に入ると――――――。
「すぅ…………………すぅ………………」
すやすやと寝息を立てるシルヴィオが俺のベッドで眠っていた。
その姿は何故と言うべきだろう、衣服を全て脱いだ状態。
下着までもがベッドの脇に無造作に脱ぎ捨てられていた。
サラサラつやつやな髪は相変わらず伸ばしたまま、男子生徒として過ごしているのも変わらず、けれど本人の意志に反して無情にも顔つきや体つきは確実に女性に近付いていた。
毎朝サラシをきつく巻いて登校するという努力をしている。
学校で王子様のように振る舞って女子たちからキャーキャー言われてるのも相変わらずだけど、可愛いものが好きなのも変わっていない。
「ごめんなさい」
あのあとすぐに目覚めたシルヴィオは布団の中に身体を隠し、今は顔だけ出した状態で俺に謝って来ていた。
「シルヴィオは俺のベッドに入る癖をそろそろ直せよ?シルヴィオは男子生徒って事になってるけど女子で、俺は男子なんだからな?」
「うん、わかってる。本当にごめん」
しょぼくれたシルヴィオの頭を俺はくしゃくしゃっと乱暴に撫でると、
「トイレに行くからその間に着替えてくれな?」
そう言って俺はトイレに向かい着替え終わって声を掛けてくるまで時間を潰す。
俺だって健全?な男だから、本当にシルヴィオには気を付けて貰わないと困る。
襲ってくれって言ってるのか?と疑いたくなるくらい無防備なんだよな………。
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