第1226話 撤収だーー!
非常に多忙な中、ワイバーンの死骸…もとい、素材回収のために集まってもらった人魚さん達には、全て円満且つ平穏無事にお引上げいただく事になりました。
無理やり呼び出しておいて、何の対価も今回は要求されなかった事に、ほっとしたよ。
あくまでも今回は…だけど。
盛大にどっかんどっかんと対岸に向けて、今回ユズユズ夫婦が自信をもってお薦めする兵器…じゃTVショッピングみたいだけど、とにかく俺に内緒で研究開発を進めていた兵器群のお披露目をしたわけなんだが、そんなお披露目が永遠に続くはずもなく、とうとう在庫が無くなったらしい。
いや、どんだけ持ってきたんだよ?
もはやミヤヒナが切り落としたガラスの様な綺麗な切り口など、見る影もないほどにボッコボコのガッタガタになっている。
川面から顔を覗かせていた、落下した崖も見るも無残な姿に。
まあ、これで川の流れも改善された感じもするけど、瓦礫で水深はかなり浅くなったかもしれない。
海から産卵のために遡上する、鮭や鱒類の障害にならないといいな。
あ、もしかしたら鮎とか鰻とかもいるかもしれない…今度、人魚さん達に聞いてみよう。
さてさて、それでは俺の元に集結した嫁ーず&ユズユズ夫婦、ブレンダーにクイーン、そして筋肉パワーのエルフさん達なのだが、晴れやかな顔のエルフさん達とユズユズ夫婦に比べ、嫁ーずの顔は不満が天元突破している。
まあ、何にもしてないからね、ミレーラにマチルダにイネスの3人は。
あ、ブレンダーにクイーンもか。
しかも、出番なっしんぐな上に、ずぶ濡れの泥だらけにされちゃったしね。
いや、変身を解いたら綺麗な元の状態にはなるよ?
でも、足元がこうも泥だらけだったら、靴とかグチャグチャになるのは必然。
俺も前世で綺麗に洗車してワックス掛けた愛車が、直後に泥汚れでグチャグチャになった時、きっとそんな顔してたと思う。
だけど、もうここでする事は何も無いはずだ。
対岸に巣食っていた大量のワイバーンは、物理的に影も形も無くなったし、ミヤヒナの自然破壊は、さらなる自然破壊の上書きのおかげで、将来的には元に戻るだろうと推測される。
ならば、もうさっさと帰って風呂に入るのが良いと俺は思うのよ。
だから、右手を天に突き上げて宣言します。
「これでワイバーン討伐作戦は終了します! 色々とあったけど…一先ず、俺達の勝利だーーーー!」
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
エルフさん、とってもいい笑顔で雄たけびを上げてらっしゃる。
『おぉー!』
嫁ーずはやっぱご不満なのねん。
「それでは撤収だーー!」
こりゃ、またダンジョンでストレス発散させなきゃ駄目かな? 帰ったらモフリーナにお願いしてみよう。
本日は、お日柄も良く…何とかワイバーン討伐を終わらせ…たのかな? 俺達は昨日野営した地点まで戻り、全部撤収。
とは言っても、テントの片付けと焚火や即席で造った竈を壊して元の状態に戻すぐらいだけどね。
立つ鳥後を濁さずってのは当然で、元日本人としてはやっぱ来たときよりも美しく、残すものは感謝のみだよね。
ん? そう言えばこれって、ボーイスカウトのルールだか合言葉だかだった気がするな。
ボーイスカウトって事は、日本発祥って事じゃないのかな? あれって、アメリカが元だったよね。
まあ、いい言葉なんだから、どっちでもいいか。
この世界の人って、立つ鳥後を濁しまくりだからなぁ…。
嫁ーずも、俺の寝室に下着とか脱ぎっぱなしだし…だからミヤとヒナが拾ってたんだし…帰ったら、嫁ーずには説教だな…。
とにかく、野営の跡すら残さぬ様、しっかりと撤収と片付けをした俺達は、まだ陽も高いのでホテル・ニュー大滝を目指して森の中を行軍する事にした。
今夜は、ホテルで全員しっかりと休息をとってもらおう。
出発前にその様に話したら、若干にミレーラ、マチルダ、イネスが肉食獣が得目のを狙う様な目つきになった気がしないでもないが…見なかった事にしよう…うん、俺の心と体の平穏の為に…。
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